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気を付けよう。「低栄養」は認知症の進行に関連するかも

2021年7月29日

こんにちは!健康ラボステーションの樋口です。
7月に入り、暑い日が続いておりますが、夏バテはされていませんか?食欲は落ちていませんか?
今回のテーマは低栄養と認知症の関係性についてです。

低栄養がおきる原因

そもそも低栄養というのは、健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂れていない状態を指します。
低栄養が起きる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

低栄養は、やせ型思考の強い若い女性など、全世代に起こりうることではありますが、噛む力の低下や感覚機能の衰えなどは加齢と共に発生しやすいということから、高齢者の方に多い傾向があります。
特にフレイルや要介護状態になるとさらに多くなると言われています。

低栄養が、認知症のリスクを上げる

肥満は中年期の場合、脳の前頭葉の萎縮に関係するため、認知症のリスクを高めると考えられています。
他にも、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病は、血管性認知症のリスクを高めるとも言われています。
しかし高齢者の方の場合、肥満は脳に対しての悪影響が少なく、低栄養、つまり瘦せている人の方が、認知症のリスクを高めると考えられています。
この低栄養状態は、フレイルなどの身体機能の衰えだけでなく、認知機能の低下にも関連すると言われ、お箸の使い方が分からない、何をどのように食べるか判断できないなど、食行動に影響を及ぼすこともあります。
このような食行動への影響は、低栄養のリスクをさらに高めてしまうという悪循環を引き起こします。
このことから、認知症予防にとって、早期に低栄養を予防・改善することは非常に重要であると注目されています。

必要なのは、早期からの低栄養対策


高齢者の中には、太っていない方でも、健康でいるためにはメタボリックシンドロームになってはいけないという意識から、日々の食事を制限してしまい、低栄養を引き起こしている場合があります。
肥満が気になる際も、特に高齢者の場合は食事を減らすより、食事をしっかり摂って、軽い運動をするように心がけましょう。
また、1日3食きちんと食事をしていても、食べたり飲み込んだりしやすい炭水化物に偏ってしまい、肉や魚、野菜類などが不足しているという例も少なくありません。
たんぱく質、ビタミン・ミネラル類が不足しないよう注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。
噛みづらかったり、飲み込みにくかったりしてなかなかお肉や魚、野菜が食べられないという場合は、
・上あごと舌でつぶせるくらいまで加熱する
・加熱しても固くなりにくい食材を使う
─肉類:ひき肉、ヒレ、豚ももなど
─魚類:カレイ、タラなど
・葉物野菜は薄いと噛み切りにくいため、巻いたり重ねたりして、厚みをもたせて食べる
・煮物や汁物にはとろみをつけて、飲み込みやすくする
といった工夫をすると良いでしょう。

他にも、食事を楽しいと思わなければ食欲は低下してしまいますので、季節を感じる食材を使用したり、お皿や箸置きなどを工夫したりするのもいいでしょう。

一度食欲が落ち、低栄養になると、悪循環に陥ってしまい、なかなか食欲が戻らないということがあります。
是非早い段階から、認知症予防のために、低栄養にならないような工夫を心がけてみましょう。

作成:認定NPO法人 健康ラボステーション 管理栄養士 樋口 遥香

大手前栄養学院専門学校卒業後、2016年4月に認定NPO法人健康ラボステーションへ入社。管理栄養士・介護食コーディネーターの資格を所持。
健康を維持し、病気を防ぐ意識をつけていただくために、栄養相談や健康維持に関連するセミナーを実施。またレシピの考案や健康コラムを提供している。健康ラボステーションのFacebookでは、過去にカフェで働いていた経験をもとに、コーヒーやカフェインに関する健康効果をコラムにして更新中。

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