認知症の4つの種類と特徴とは
脳の機能が低下して日常生活や記憶・判断力などに支障をきたす認知症には、実は多くの種類があります。
今回は、なかでも「4大認知症」と呼ばれる代表的な認知症の種類と特徴について解説していきます。
認知症の種類
4大認知症には、「①アルツハイマー型認知症」、「②レビー小体型認知症」、「③脳血管性認知症」、「④前頭側頭型認知症」があります。
それぞれ原因や特徴、症状の進行具合などが異なるため、身近に認知症の高齢者がいる場合は参考にしてみてください。
①アルツハイマー型認知症
認知症の60~70%を占めるのがアルツハイマー型認知症です。
物の名称を思い出せなかったり、食事をしたことを忘れてしまったりする物忘れが代表的な症状のため、加齢でよく見られる物忘れと勘違いされやすい特徴があります。
加齢の場合は食べたものを忘れるなどで行為の記憶は保たれるため、物忘れの内容には耳を傾けましょう。
アルツハイマー型の症状は緩やかに進行し、新しいことを覚えられない記憶障害や今自分がいる場所や時間感覚が分からなくなる見当識障害などがみられます。
原因として、「アミロイドβ」という異常なタンパク質のごみが脳の神経細胞を破壊し、脳の萎縮が起こると考えられています。
②脳血管性認知症
脳血管性認知症はアルツハイマー型の次に多く、全体の約20%が該当します。
物忘れなどの記憶障害は比較的軽度で、判断力や意欲の低下、気分の落ち込み、感情起伏の激しさなど感情的な症状が多いのが特徴的です。
症状の進行の仕方は段階的で1日や時間によって波があり、認知機能がまだらに低下することから「まだら認知症」とも呼ばれます。
一見無症状に見えることもあるため、認知症の疑いがある場合は時間単位での経過観察が必要です。
脳血管性認知症は男性にやや多く、脳梗塞や脳出血などで脳の血管が詰まり、神経が死滅することで発症すると言われています。
これらの疾患による発作で症状は進行するため、リハビリをしっかり行い、生活習慣を正すなどで予防が可能です。
③レビー小体型認知症
認知症と言えば物忘れや見当識障害、判断力などの低下が主症状ですが、全体の約4~10%を占めるレビー小体型認知症の特徴は、幻視が見られることです。
幻視とは現実に存在しないものが見える症状で、「(いないのに)人と会った」、「(いないのに)身体に虫がついている」など他人と共有できない発言が見られることがあります。
初期には気分の落ち込みが生じやすく、うつ病と誤解される可能性が高いです。
また、手足が小刻みに震えて動きづらくなるなどパーキンソン症状が生じやすいことも特徴的です。
レビー小体型認知症も男性に多く、レビー小体という異常なタンパク質が脳に溜まり、脳細胞が死滅することで発症する認知症です。
症状が進行すると寝たきりになる可能性もあるため、進行を遅らせる治療が必要になります。
初期症状の幻視は、否定も肯定もせず話を合わせてあげることで、落ち着いた対応ができます。
④前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は認知症の1%程度ですが、唯一難病指定された症状です。
初期症状は、物忘れよりも人格や行動の激しい変化が特徴的に現れ、今までとは180度違う態度や堂々とした万引き行為、興味関心の著しい低下などがみられます。
症状の進行で同じ言葉を繰り返したり、言葉が喋れなくなったりし、身体が動かなくなりやすいです。
前頭側頭型認知症の原因は、人格や感情、計画、実行力などを司る脳の前頭葉と側頭葉が委縮することで、症状の進行はゆっくりめです。
認知症の中でも発症年齢は50~60代と早めで、若年性認知症の原因とも言われています。
まとめ
認知症と言ってもその種類は様々で、発症年齢や初期症状、進行の仕方などがそれぞれ違います。
物忘れだけでなく、場合によっては幻視やパーキンソン症状、気分の落ち込み、人格の変化など他の病気と誤解されうる症状も見られますが、すべて認知症の症状です。
認知症の高齢者は理解力の低下などがありますが、繊細な人が多いため、頭ごなしな否定や指示をせず、話を聴いて落ち着いた対応を心がけましょう。