糖質過多がアルツハイマー型認知症を促進する
こんにちは!健康ラボステーションの樋口です。
実は、先月2月は「全国生活習慣病予防月間」だったのですが…皆さんご存知でしたか?
2月に限らず、生活習慣病予防のために、日々気を付けておきたいものですが、「月間」と称されると、改めて意識づけが出来て良いですね。
ちなみに、皆さんは毎年健康診断や人間ドックを受けていますか?
今回のお話は、血糖値に関連しますので、健康診断や人間ドックをきちんと受けている人は、ぜひご自身の血糖値が高すぎていないか、思い出しながらご覧ください。
認知症の発症リスクは、糖尿病で明らかに高くなる
認知症には脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症など、いくつか種類があると考えられています。
脳血管性認知症は、脳梗塞などの血管障害に伴って、脳の血管が切れたり詰まったりしやすくなることが原因で進行すると考えられていますが、アルツハイマー型認知症は、まだまだ原因など分からないことが多い状態です。
ただ、前回のコラムでも記載したように「アミロイドβ」という老廃物(異常なたんぱく質)が蓄積することで、脳の神経細胞を死滅させてしまうのではないかと考えられています。この「アミロイドβ」が蓄積する原因のひとつに高血糖が関係していると言われております。
人は、食事を食べると血糖値が上がり、この血糖値を下げるためにインスリンというホルモンを分泌します。インスリンは使い終わると「インスリン分解酵素」によって処理されます。この「インスリン分解酵素」が今回のキーワードです!
インスリン分解酵素は使い終わったインスリンを分解処理しながら、「アミロイドβ」も分解してくれます。
ただし、高血糖の状態が続き、インスリンの分泌が増加すると、インスリン分解酵素はインスリンの分解に追われてしまいます。すると、「アミロイドβ」の分解が追いつかず、蓄積が進んでしまうと考えられています。
つまり、高血糖が「アミロイドβ」の蓄積を進めてしまうのです。
実際に、糖尿病の方や糖尿病予備群の方は、血糖値が正常の人に比べてアルツハイマー型認知症のリスクが2.05倍、負荷後2時間血糖値(※1)が高い(200㎎/㎗以上)方は、正常(120㎎/㎗未満)の方に比べて、アルツハイマー型認知症のリスクが3.42倍高くなるということがわかっています。
血糖値の上昇を防ぐ「まいたけ」
高血糖を予防するには、糖質の摂取量をある程度抑え、食後に軽い運動をするようにしましょう。
他にも、食物繊維を多く含む食品を摂ることで、血糖値の急上昇を抑えることも大切です。
ここで、おすすめの食材がまいたけです。
まいたけには、糖質の吸収を抑える「βグルカン」という食物繊維や、インスリンの働きを助ける「X-フラクション」という成分が含まれています。
お吸い物に入れたり、きんぴらにしたり、炒め物、揚げ物、お浸しなど、汎用性の高い食材ですので、ぜひ食べる頻度を増やしてみてください。
アルツハイマー型認知症の改善も期待!?ケトン食療法
ちなみに、いま「ケトン食」にも注目が集まっています。
ケトン食とは、低炭水化物、高脂肪食とすることで体内に多量のケトン体を作り出す食事法で、本来てんかんや、がんの治療として用いられているのですが、アルツハイマー型認知症の改善効果も期待できると、研究が進められています。
ポイントは、「ケトン体」を作り出すということです。
アルツハイマー型認知症では、脳のエネルギー源であるブドウ糖がうまく取り込めず、エネルギー不足に陥ることで機能不全状態になってしまうと考えられています。
ブドウ糖がエネルギー源として利用できなくなると、脳はケトン体をエネルギー源として利用するため、ケトン体を作ることで、機能不全を防ぐことが出来るのではないかと、研究が進められています。
ただし、既に高血糖状態の方は、ケトン体が上昇しすぎてしまうと良くないため、ケトン食は、正しく行うことが非常に難しいとされています。
必ず、実施する際には、ケトン食治療の経験のある医師や管理栄養士の指導のもと行い、自己判断で行わないようにしましょう。
自分で気を付けてみたい!という方は、「夜だけ糖質を抜いてみる」「3食ともごはんの量をお茶碗半分にしてみる」など、糖質を極端に減らさずに、いつもより少し減らす、という方法をお勧めします。
※1 負荷後2時間血糖値とは
10時間以上の絶食後、空腹のまま採血し、血糖値を測定します。
その後、ブドウ糖を溶かした水を飲み、2時間後に採血した血糖値を表します。
執筆:認定NPO法人 健康ラボステーション 管理栄養士 樋口 遥香
大手前栄養学院専門学校卒業後、2016年4月に認定NPO法人健康ラボステーションへ入社。管理栄養士・介護食コーディネーターの資格を所持。 |