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認知症の理解を深める新オレンジプランとは?

2021年12月23日

近年高齢化がどんどん進み、高齢者に見られやすい認知症は今では決して他人事ではありません。
もし自分が認知症になったとき周りに受け入れてもらうためにも、認知症への理解を深めることは大切です。
今回は、認知症の理解を深める「新オレンジプラン」について解説します。
認知症患者が自分らしく暮らすための取り組みについて知るために、是非ご覧ください。

新オレンジプランとは

日本は高齢者が増え続けていると言われていますが、実は、2007年から超高齢化社会と言われており、総人口のうち65歳は21%を超えていると言えます。
もはや、認知症は誰もがかかりうる病気でしょう。
新オレンジプランとは認知症患者のための政策で、以下の2点を最重要視しています。

  • 認知症の人の意思の尊重
  • 可能な限り住み慣れた地域、よい環境で自分らしく暮らし続けること

認知症は、今後もっと身近な問題となるからこそ、その理解を深めて暮らしやすさを考えていくことが現在の課題と言えます。

新オレンジプランまでの歴史

新オレンジプランの前にも認知症への取り組みはいくつかありました。

  • 介護保険の開始で、認知症患者介護の金銭的負担を軽減
  • 痴呆症から認知症へ呼び名を変え、理解を深める
  • 認知症サポーターの普及により、支援を増やす

など

中でも、認知症の症状ばかりに焦点を向けるのではなく、介護・福祉や地域連携の視点をもつための政策としてオレンジプランも公表されました。
オレンジプランの公表により、「認知症=病院や施設入所一択」のように考えられていたのが、「地域で暮らしていく」考えも広まるきっかけになっています。

新オレンジプランの7つの柱

新オレンジプランでは、認知症の理解を深め、それぞれの認知症患者が適した場所で介護を受けられるために7つの柱を掲げています。

  1. 認知症の理解を深めるための普及・啓発の促進
  2. 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  3. 若年性認知症施策の強化
  4. 認知症の人の介護者への支援
  5. 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  6. 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
  7. 認知症の人やご家族の視点の重視

7つとも、認知症患者の暮らしやすさを考えた内容と言えます。

①普及・啓発

1つ目の「認知症の理解を深めるための普及・啓発の促進」では、まず認知症を社会に認識してもらうことを重要視しています。

  • 学校で子どもたちと高齢者の交流
  • 当事者の声の広告活動
  • 認知症を理解し、支援する「認知症サポーター」の養成

など

認知症は、社会で対応していく必要がある病気だと理解しましょう。

②医療・介護等

2つ目「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」では、認知症の症状の進行具合に応じた、当事者主体の医療・介護を提供する内容です。
認知症の早期診断や予防活動、行動・心理症状(BPSD)への対応、地域連携を目指すものです。

③若年性認知症

3つ目「若年性認知症施策の強化」は、認知症は65歳未満でも発症リスクがあることを広め、若者の就労支援や居場所づくりの大切さを示しています。

④介護者支援

4つ目「認知症の人の介護者への支援」では、当事者だけでなく介護者の負担にも注目しています。
介護負担軽減のための介護ロボットの開発や、情報共有の場として認知症カフェが誕生しています。

⑤認知症など高齢者にやさしい地域づくり

5つ目「認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進」では、高齢者全般が暮らしやすくなるための支援を示しています。

  • 家事などの生活支援
  • 高齢者向けの住まいの確保
  • 地域活動などの社会参加の推進
  • 成年後見制度など高齢者の安全確保

認知症の有無に問わず、高齢者が暮らしやすくなるための工夫が必要と言えます。

⑥研究開発

6つ目は「認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進」で、認知症の病態を調べ、早期診断や治療、予防に活かす重要性を示しています。

⑦認知症の人やご家族の視点の重視

7つ目「認知症の人やご家族の視点の重視」は新オレンジプランの主軸とも言える視点で、支援者の考えだけでなく認知症患者やその家族の視点を重視する内容を指します。
高齢者が自分らしく過ごすためには、支援ばかりでなく当事者の声に耳を傾けることも重要です。

まとめ

新オレンジプランは、認知症患者が病院や施設以外にも住み慣れた地域で過ごすために国が考えた政策です。
認知症に限らず高齢者が過ごしやすくなるには、政策の公表だけでなく私たちが理解を深めていくことも大切です。
認知症の人が暮らすためのヒントに気づくためにも、新オレンジプランの内容を少しでも知っておきましょう。

参考資料:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて=(概要)<R3年9月10日閲覧>

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