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幅広い世代にアプローチする「東住吉オレンジチーム」のご紹介

2022年12月12日

おれんじねっとでは、大阪市各区「オレンジチーム」の活動についてシリーズでご紹介しています。
今回は、東住吉オレンジチームの岡田 恵介(おかだ けいすけ)さん、永田 百合子(ながた ゆりこ)さん、竹内 久美子(たけうち くみこ)さん、佐々木 かおりさんにお話を伺いました。

東住吉区のオレンジチームについてお聞かせください

大阪市24区におけるオレンジチーム先行区として、他区に先駆け平成27年に発足した東住吉オレンジチームは、区内に4つある地域包括支援センターのうち区の中心部に位置する中野地域包括支援センターを拠点として、看護師、社会福祉士、介護支援専門員など、さまざまな福祉系資格やキャリアを所持する4人で活動しています。

日頃は電話での相談が最も多く、そこから戸別訪問を行い、チーム全体で支援していく…というのが主な活動になりますが、推進員として認知症に関する各種講座の企画・実施を行うことで認知症の周知、啓発に努める活動も同時に行っています。

また、他の包括やブランチとも日頃から連携しているため、他のところに相談に来られた方への訪問に同行することや、その逆パターンで動くことも少なくありません。こうした流動的な動きをスムーズに行うためにも、他包括との連携会議を行い、互いに情報を共有しています。

活動の一環として、親子講座を企画・実施しました。図書館もアルツハイマーデーに合わせて認知症コーナーを作っていたため「一緒に何か企画しよう!」となり、認知症に関する資料や相談に関する連絡先を壁に掲示したり、シールアンケートなどを実施しました。
結果、コーナーに集められた図書のほとんどが借りられ、50部ずつ用意しておいた地域包括センターのチラシとオレンジチームのチラシも期間中にほぼなくなりました。日々の活動と同時進行で資料を作成するのは大変でしたが、それ以上の手応えを得られたので、来年以降も図書館との連携を図っていきたいと思っています。

東住吉区の特徴についてお聞かせください

大阪市で8番目に大きな面積を持つ東住吉区は市内南東部に位置し、南北に細長い形状をしています。交通面では地下鉄谷町線、近鉄南大阪線、JR阪和線・大和路線が通り、いまざとライナーなどのバスもありますが東西に運行するものは少ないため、我々オレンジチームは主に自転車で移動しています。

区内には広大な植物園や自然史博物館、数々の国際的なスポーツ施設を有する長居公園があるほか南端には大和川が流れており、スポーツと豊かな自然の街、という印象を持つ方が多いと思います。

中心部には大きな商店街がありますが住宅区域がほとんどで、住民の高齢者割合は28.5%。近年では中野地域を中心にファミリー向けマンションが増え、若い世代が増えつつあります。

活動をする中で、特に印象に残っているエピソードは?

コロナ禍で中止となっていた区内小中学校や専門学校での講座が少しずつ再開され始めているのですが、子どもや若い世代の反応はいつも新鮮で、毎回とてもいい刺激になっています。

講座では「認知症になった人の気持ちを考えてみよう」とお題を出して子どもたちに想像してもらうことも多いのですが、「もっと優しく声をかけてあげるといいと思う」などピュアな意見が返ってくることも多く、心が洗われます。毎回講座の最後に配付するアンケートも用紙いっぱいにびっしり書いてくれることも多く、「あなたたちは素晴らしい仕事をしています、尊敬します」と小学生から書かれていたときには驚くと共に気持ちが引き締まりました。

家庭内で介護をしていると、ご家族は常に対応に追われイライラしがちです。認知症による問題により家庭内が重苦しい空気になっていたところ、学校で講座を受けたお子さんがやさしく対応することでその場がうまくまとまった事例があったと聞き、講座を開いて良かった、と実感したこともありました。

東住吉区のこれからについてお聞かせください

コロナの影響で地域行事の多くが中止となり、外出の機会や人との交流が減ったことで認知症が進んでしまった、という方は少なくありません。コロナ前には最大110件あった相談も激減し、昨年は45件、今年は11月11日時点で34件という状況ですが、これは認知症の方が減ったわけではなく、人と接することが減ったために家族や地域の方が「あの人大丈夫かな?」と感じる機会も減ってしまったことが原因ではないかと推察しています。

相談を受けた後の訪問時には“どんな活動なら心を開いてくれるか”と毎回スタッフ全員で頭をフル回転させていますが、昨年から地域のボランティア団体が開催している「まちあるき」を案内すると、興味を示してくださる方が多いことが分かりました。
自然を感じながら隣で歩きつつ話をするとスムーズに信頼関係を築くことができるので、中には「まちあるき」参加後、スピーディーに訪問看護に繋げることができた事例もあります。今では参加を楽しみにしてくれる方も増えてきたので、今後もぜひ続けていきたいと思っています。

将来的な目標としては、介護と看護の強みを互いに活かせる関係づくりも挙げられます。
医療と介護、それぞれの視点、それぞれの強みを生かして、ご本人の生活を支えていく事が、大事ではないかと思います。オレンジチームは、医療と介護の資格をもった専門職で構成されており、認知症支援において、医療と介護の中間に立ち、橋渡しの役割があります。
そのためにも今後一層、医療機関との連携を取って行きたいですね。

最後に、おれんじねっとを通じて一言お願いします

認知症は誰でもかかる身近な病気です。だからこそ、誰でも住める街であることが大切。認知症で大変なときは、当事者、家族、ボランティア、地域の方々…とみんなで互いに支え合うことができるよう、少しでも多くの方と“繋がる”ことができる街であれば、住みやすさも増していくのではないかと思います。

また、東住吉オレンジチームでは、コロナ禍中に中止が相次いだ講座に代わる新たな周知方法として、「認知症とは」を解説する動画を作成しました。現在、ホームページ上の下記URLにて公開しているほか、スマホのカメラで読み込むだけで動画を視聴できるQRコードを掲載したチラシを各町会の回覧板で回してもらったり、地域の掲示板に掲示したり、医療機関や銭湯、美容室、郵便局などで配布しています。

今後、より分かりやすく、より気軽に視聴できるショートバージョンの動画も作成予定なので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいですね。

東住吉オレンジチーム(中野地域包括支援センター)


住所:大阪市東住吉区湯里1-1-30
電話:06-6760-7578
開設時間:9時~17時30分
休業日:日・祝・年末年始

執筆:松下 陽子

 

 

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