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地域と連携し輪になって取り組む「浪速区オレンジチーム」のご紹介

2022年2月16日

おれんじねっとでは、大阪市各区「オレンジチーム」の活動などをシリーズでご紹介しています。今回は、浪速区オレンジチームの井上 典子(いのうえ のりこ)さん、久保田 奈美(くぼた なみ)さんにお話をお聞きしてきました。

浪速区のオレンジチームについてお聞かせください

浪速区の「認知症初期集中支援チーム」は、常勤の作業療法士、介護福祉士、精神保健福祉士と、週2回の看護師1名、チーム員医師(心療内科・精神科 認知症サポート医)1名の計5名のメンバーで活動しています。
メンバーは常に情報共有をし、支援者やご家族にとって最善を尽くせるように支援方法などみんなで話し合っています。

浪速区の地域包括支援センターは1カ所で、社会福祉協議会で受託し、オレンジチームと地域の情報を共有することができています。
所在地も「大阪市立浪速スポーツセンター」内にあるので、「スケート場があるところ」と言えばすぐ分かってもらえています。

浪速区の特徴についてお聞かせください

通天閣や今宮戎神社など昔ながらの観光地周辺には、古い住宅地も多く残っていますが、OCATなどがある湊町辺りには中高層マンションも建ってきています。
高齢化率は、17.5%(2020年)で高齢者数も大阪市内で最小です。地域によっては、単身の高齢者や生活保護受給者が多く、平均寿命・健康寿命いずれも大阪市内の中で二番目に低い区です。

普段から社会福祉協議会や地域包括支援センターと共に地域との関係を深めているので、地域の方々や町会からの相談も入ってきます。元々浪速区は、昔ながらの地域コミュニティがしっかりしており、人情に厚いつながりが残っている地域も見受けられます。

一方で中高層マンションにお住まいの方は地域との関係も希薄で、私たちも介入しにくいことがあり、百歳体操などの取り組みの中でPRや周知活動を進めています。

小さい区でも多様な文化がある浪速区なので、様々なケースに対応できるような取り組みをしています。

活動でのエピソードなどをお聞かせください

支援の拒否が強い方とは、状況に応じてですが、一緒に買い物に行くところから始めて、関係性を築いていくこともありました。「来てくれるようになって良かった」「よくしてくれてありがとう」と言われるときは嬉しくなります。

そうした信頼関係から、「私たちとの関わりに安心感」をもってもらえるようになり、後には穏やかに接してもらえるようになりました。

また活動の一環として昨年から、世界アルツハイマーデー(9月21日)に川柳を募集しました。幅広い年齢層の方から、応募があり約130作品が集まりました。
「子ども・子育てプラザ」と連携し、川柳にイラストを付けて展示しました。

2022年度も川柳の募集は続ける予定です。さらに、「老人福祉センター」の庭をお借りして、農業を通じて、ふれあい収穫など認知症の人たちの社会参加できる場をつくりたいと考えています。

浪速区のこれからについてお聞かせください

私たちの活動は私たちだけでは成り立ちません。さまざまな人達に関わってもらっています。病院の先生からの相談もあれば、地域の方々からの相談があり、関係していただいている人たちの「見守りの目」が私たちの活動の糧となっています。

老若男女すべての地域の方々が、気軽に相談し合える「認知症にやさしいまちづくり」を目指していきたいです。
そして私たちは、認知症の方々が生きがいをもって、浪速区で暮らしていけるように手助けができればと思っています。

おれんじねっとを通じて一言

私たち浪速区オレンジチームは、認知症の方々の支援をしていますが、社会福祉協議会や地域包括支援センター、介護サービス事業所、地域関係者など、たくさんの方々の力を借りて活動することができています。

認知症になっても安心して暮らせるまちづくりのために「わ(輪)になろなにわ(浪速)」の精神で、みんなで輪になって取り組んでいきたいと思います。

浪速区オレンジチーム(大阪市浪速区社会福祉協議会)


住所:〒556-0011 大阪市浪速区難波中3-8-8
電話:06-6636-6071
開設時間:9時〜17時
休業日:日・祝日・年末年始

〇大阪市の認知症初期集中支援チーム

執筆:おれんじねっと編集部  花田 康

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