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“見守る”“支える”“つながる”「住吉区るるるオレンジチーム」の紹介

2022年9月20日

おれんじねっとでは、大阪市の各区で活動する「オレンジチーム」の特徴などをシリーズでご紹介しています。今回は、住吉区るるるオレンジチームの山川 真由美(やまかわ まゆみ)さん、髭 久子(ひげ ひさこ)さん、今堀 富美代(いまほり ふみよ)さんにお話を聞きました。

住吉区のオレンジチームについてお聞かせください

住吉区は、高齢者の生活をサポートする地域包括支援センターが4カ所あります。私たち「住吉区るるるオレンジチーム(認知症初期集中支援チーム)」は、その中で区の南に位置する住吉区地域包括支援センターに所属しています。

現在は看護師2名、社会福祉士1名、精神科のチーム員医師1名で活動をしており、認知症の方に長く関わってきた豊富な経験をもとに、皆さまのご相談にお応えしています。

住吉区の特徴についてお聞かせください

大阪市の24区の中でも5番目に人口が多く、そのため高齢化率も上がってきています。住吉大社や大依羅神社、あびこ観音などがある、歴史の長い地域では住民の方の結びつきも強く、昔ながらの行事が盛んで、高齢者の方も生き生きと活躍されています。
その一方で、御堂筋沿線をはじめ交通の便がよいエリアにはマンションや公営住宅が点在していて、若い方の転入も見られます。
普段は自転車で皆さんの元を訪ねているのですが、片道30分かかる場所もあり、活動していくうちに体力がついていくのも住吉区のオレンジチームの特徴かもしれません。笑

活動でのエピソードをお聞かせください

私たちがお会いする方々は、一人ひとり個性があり状況が異なります。スムーズに支援が始まる事例ばかりではなく、信頼関係を築くのに時間を必要とする場合もあります。
そういった方でも何度もお会いしていると、家の中での困りごとや身体の不調に遭遇する機会があり、一緒に考え寄り添ううちに心を開いてもらえて、病院の受診につながることもありました。

また、金融機関とも連携をとっており「銀行など暗証番号を忘れお金がおろせない」「第三者が付き添い出金操作している」などと連絡を受けてすぐに店舗へ向かうことで支援につながったこともありました。

認知症についての相談はご家族からの連絡が多いですが、定期的に開催している区役所での出張相談では、「鍋を焦がすようになってきた」「お風呂を沸かしているのを忘れる」「子どもに迷惑をかけたくない」と、ご自身のことを相談される方もいらっしゃいます。

住吉区にお住まいの方は、こうした活動やポスターなどでオレンジチームのことを知っていただけるのですが、離れて暮らすご家族などはそのような機会が少ないので、ホームページの必要性を感じて2020年に開設しました。
ちょうどコロナ禍と重なったこともあり、住吉区以外にお住まいのご家族がホームページを見て電話をかけてこられるケースも増え、作ってよかったです。
私たちに届くご相談はさまざまで、すべてが支援につながるものではありませんが、「もしかして親が認知症かも」「認知症でないかもしれないが不安」といったお悩みにもお応えしていますので、どんなことでも気軽に問い合わせていただければと思います。それが認知症の予防や早期発見につながる場合もありますので。

住吉区のこれからについてお聞かせください

少しでも多くの方に、認知症やオレンジチームの活動について知っていただけるよう、積み重ねてきた広報活動や各所との連携が最近、実を結び始めています。
地域包括支援センターのイベントにお誘いいただいたり、区内の大学の学生と共催で認知症サポーター養成講座を開いたり。郵便局や企業様から、社員教育のためにセミナーの実施依頼を受けるなど、今まで以上に周知活動ができるようになってきています。
それでも、まだまだ周知の必要性を感じています。訪問などで区内を回っていると、オレンジチームのポスターをあまり見かけないので、掲示場所を増やし、高齢者をはじめ、区民の方の生活圏域のスーパーや金融機関、集合住宅、交通機関などにもっとアプローチをすることで、認知症の方の早期発見、支援につながることを目指したいです。
その取り組みの一つとして、気軽にチラシを手にしてもらえるよう、ポケットティッシュの配布を予定しています。

ほかにも、認知症の方が生き生きと生活されている姿を知っていただきたいと、昨年から9月のアルツハイマー月間に認知症の方の笑顔の写真を、住吉区在宅サービスセンターで展示しています。

さらに今年は、オレンジチームのチラシとマスクを入れたものを配布する予定で、その作業は認知症の方々にお願いしています。

おれんじねっとを通じて一言

認知症は誰もが発症する可能性があります。しかし、いかに早く予防や対策をとるかで、その後の人生を大きく左右します。ご自宅で塗り絵や脳トレをするだけでなく、社会参加し人と交流することが大切です。
住吉区は高齢者向けの催しが盛んで、なにわ元気塾(いきいきフレンドサロン)や住吉区老人福祉センターなどでは楽しい活動が色々と行われているのでおすすめです。

また、認知症は高齢者だけではなく、年齢が若くても発症します。もの忘れなど初期症状に気づいても「疲れやストレスかな」と思われる場合が多く早期発見が難しい病気です。気になる症状があれば、一人で悩まずご相談ください。
早いうちに診断を受けていただき、診断後の就労や介護サービス、障害制度の利用、地域での居場所作りなどについて一緒に考えていきたいと思います。

住吉区は「来てよし 観てよし 住みよし区」というテーマを掲げています。オレンジチームの活動が安心して暮らせる地域づくりの一つになって、“住みよし”につながるよう、これからも積極的な取り組みを続けていきたいです。

住吉区るるるオレンジチーム(大阪市住吉区社会福祉協議会)


住所:大阪市住吉区浅香1-8-47
電話:06-6115-8605
開設時間:9時〜17時30分
休業日:日・祝・年末年始

執筆:古舘知子

 

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