天王寺区ゆうあいオレンジチームの紹介

2022年6月16日 2022年8月5日

おれんじねっとでは、大阪市各区「オレンジチーム」の活動などをシリーズでご紹介しています。今回は、天王寺区ゆうあいオレンジチームのお二人にお話をお聞きしました。

天王寺区のオレンジチームについてお聞かせください

天王寺区の「ゆうあいオレンジチーム（認知症初期集中支援チーム）」は、現在、介護系スタッフ2名、保健師1名、認知症サポート医のチーム員医師2名の計5名で構成されています。

様々な経歴を持つメンバーの中には、介護に携わって10年以上というベテランも。毎日のミーティングでその日の状況や課題を検討しながら、それぞれの経験を活かしつつ日々活動しています。また、毎月一度はチーム員医師を交えた会議も実施しています。

天王寺区の特徴についてお聞かせください

大阪市のほぼ中央に位置する天王寺区は上町台地があることから、坂道が多いという地理的な特徴があります。区内には高層マンションが多く建設される一方、昔ながらの住宅も残っています。

地元愛が強く50年以上居住する方が多いことも特徴です。また、人口に対して医療施設数が多く、医師数は全国でもトップクラス、という一面も持っています。その安心感からか、リタイア後に他市、他区から転入してくる方も少なくありません。そういう地縁の薄い方々と地域をつなぐことも、オレンジチームや地域支援推進員の役目だと思っています。

そうした活動の一環として、毎年「ゆうあいフェスティバル」で認知症カフェを開催し、認知症の方々にも運営メンバーとしてかかわっていただきました。
ただイベントに参加する受け身の立場ではなく、スタッフとして役割を持って活動することで地域との関係性を深めていただく場としていたのですが、残念ながらここ2年は新型コロナウィルス感染拡大のため中止となっています。

活動でのエピソードなどをお聞かせください

日々の活動ではご本人やご家族の気持ちにいきなり立ち入ることのないよう心がけていますし、支援対象者の方が元々どんな方で、何が好きだったのかを聞き出すことも大切にしています。早期のうちにそれができていると、その後症状が進んで自分の好きなことや思いを伝えられなくなってからでも、その人の好きなものや環境を用意することができるからです。

以前、デイサービスにお繋ぎした方の中に、とにかくイベントが好き、人を喜ばせることが大好き！という方がいました。勤めていた頃は会社の宴会のためにドジョウすくいや太鼓、切り絵などを習ったそうで、認知症が進んでからもデイサービスのレクリエーションではスタッフ以上に活躍されており、毎回「楽しかった」「活躍できて嬉しい」と喜んでいるそうです。

認知症の方は、どういう思いをしたか、どんな気持ちだったか、ということが強く記憶に残ります。前述の方の場合、“人を喜ばせたい”という思いが今なお叶っているということだと思いますし、その環境を用意できたことは本当に良かったと思っています。
また、1人でも多くの方に私たちの活動を知ってもらうために、マンションの管理人さんや管理会社に許可を取り、チラシのポスティングも行っています。

以前、周囲の方から相談を受けたものの突然ご本人を訪ねて行くわけにもいかず、近隣にポスティングしたところ、お近くにお住まいだったその方のご家族から連絡をいただき、適切な支援サービスに繋げることができた事例もあります。

チラシは地域の医療機関にも置いてもらっているほか、毎月発行しているクイズ付きの「ゆうあいオレンジチーム通信」と共に地域のふれあい喫茶に持参して、お互いに顔の見える関係作りのツールとしても役立てています。