認知症の暴食とは?食の異常に対応して健康を保とう
高齢者の介護をしていると、食べたことを忘れて食事の催促をされたり、冷蔵庫の中の物を勝手に食べ漁られてしまったりして困ることはありませんか。
暴食など食の異常も認知症の症状の1つです。
食の異常には暴食の他に拒食もありますが、本記事では認知症の暴食と対応について解説していきます。
認知症の暴食とは
認知症といえば、記憶障害や日時が分からなくなる見当識の低下がメインの症状ですが、それらに伴い不眠などの二次障害も見られます。
暴食もその1つで、食事の記憶が抜け落ちてしまったり、満腹中枢の機能が低下してしまったりすることが原因と考えられます。
人によって暴食症状の出方は異なり、症状が現れたとしても一過性の場合もあるため、各症状について事前に知っておくことが大切です。
過食
過食は、必要以上に食事を求めてしまう症状です。
認知症のメインの症状である記憶障害のため、食事をしたこと自体を忘れてしまい、「食事はまだとっていない」と思い込んでしまうことが原因です。
また、認知症になると過度に食欲旺盛になる場合があります。
過食の後は、大量の排泄による体力の低下や、過食後の嘔吐がみられ危険な場合もあるため、要観察が必要です。
異食
異食は、食べ物や飲み物以外を口に入れてしまう症状です。
本来は乳幼児に多く見られる症状ですが、認知症で認知機能が低下することで、食べられないものも食べられると思い込んでしまう場合があります。
煙草やビニール袋などを誤飲してしまうと、消化器系をはじめとして健康を損なう可能性も高いです。
異食が起こった場合は自己判断でなく、救急対応や受診を検討しましょう。
盗食
盗食は、他人の物などを盗み食いしてしまう症状です。
過食を抑えるために食事を制限された高齢者や、認知症の進行で判断力の低下、感情のコントロールが困難になることで生じやすくなります。
介護者や施設内の高齢者など対人トラブルの元になりやすく、とめることも難しいため、盗食が頻繁に見られる場合は1対1の見守りが大切になってきます。
認知症の暴食への対応
認知症の暴食はただの欲求ではなく、記憶障害が引き起こすことが多いため、「ご飯を食べさせてもらえない」という怒りや不安を感じやすいといえます。
そのため、頭ごなしに注意しても症状が悪化する可能性が高いです。
以下3つの対応は在宅介護でも実践可能なため、優しい口調での関わりを意識しながら実践してみてください。
食べ物は目につかないところに置く
認知症で暴食が見られる高齢者は、食べ物を見かけると手をつけやすくなる特徴があるため、目につきやすい場所に食べ物を置かないように気をつけましょう。
高齢者が手にしている食べ物を取り上げるのではなく、事前に食べ物を片づけておいたり、食べ物のある場所に鍵をかけたりするが有効です。
認知症の暴食は判断力の低下や満腹中枢の機能不全であるため、周りが環境調整してあげることも大切です。
1回の食事量を減らして食事回数を増やす
暴食とはいえ「ご飯を食べたい」という欲求を制限し続けると、高齢者にとってかなりのストレスになり関係性が悪化する可能性があります。
1回の食事量を減らすことで、過食にならずに食事回数を増やすことができます。
3食食べる場合でも、おにぎりなどの軽食を与えてあげることで食事への欲求を満たしてあげても良いでしょう。
食後の食器はしばらく置いておく
食後の食器をすぐに片づけてしまうと食べた記憶も実感も薄れてしまうため、食後であることを意識しやすいように空の食器をしばらく置いておく対応も有効です。
食事を済ませていないと思い込んでいる場合でも、空の食器を見せることで介護する家族も落ち着いて対応しやすくなります。
また、食器を囲んで会話することで食事への印象づけにもなります。
まとめ
認知症は、記憶障害をメインに多くの症状を引き起こします。
暴食もその1つで、高齢者本人は制御がしづらく、介護する家族にとっても厳しく注意しやすいため、対応が難しい症状です。
しかし、止めるべきは不健康になることであって、暴食そのものではありません。
過食に対して食事回数をあえて増やすなど、認知症の高齢者の主張もくみつつ落ち着いて対応していきましょう。