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もの忘れ外来ってどんな診療科?一般外来との違いは

2020年12月30日

近年、高齢化が加速するにつれ、認知症になる方の数も多くなってきました。しかし、認知症は初期の段階で気づくことができれば、症状の進行を緩和させるなどの様々な対処が可能となります。そのためには、認知症に詳しい医師に診てもらうことが重要です。

ここでは、認知症の疑いがある人を診療する、もの忘れ外来の特徴と一般外来の違いについて、解説します。

もの忘れ外来と一般外来の違い

もの忘れ外来はどういう診療科?

もの忘れ外来とは、記憶力などの低下が著しく、日常生活に支障をきたすなどの認知症の疑いがある方が受診し、適切な検査や治療などを行う診療科のことを言います。また、問題を抱えている本人だけではなく、周りの家族などが相談に訪れることも可能です。

もの忘れ外来は、総合病院の一診療科として設置されているケースが多いですが、地域に密着したクリニックなどで、看板を掲げている場合もあります。

認知症に精通した専門の医師がいる

もの忘れ外来と一般外来との違いは、認知症について詳しい知識と診療技術を持つ医師が在籍しているかどうかです。

もの忘れ外来では、日本認知症学会などで認知症の専門医の資格を取得した医師などが診療にあたっています。そのため、医師の能力は一定水準以上であり、認知症に関する専門性も高いと言えるでしょう。

もの忘れ外来で行う診療内容について

受診者への問診を丁寧に行う

もの忘れ外来では、受診者に認知症の疑いがないかをしっかりと調べて行きます。特に、初診の方に対しては、時間をかけて問診をします。問診の内容としては、どのような症状に困っているのかや現在までの経緯、過去に経験した病気のこと、生活歴や家族歴などに至るまで、その人の全体像が把握できるように進めます。つまり、受診者の症状が単なるもの忘れなのか、それとも認知症の特徴によるものなのかが判断されるのです。

また、問診は、看護師や臨床心理士などの医療専門職が行う場合と、医師が直接携わる場合があります。その点は、それぞれの病院やクリニックで異なります。

神経心理学検査を実施する

認知症を診断するには、問診だけでは明確な判断ができないことも多くあります。なぜなら、受診者やその家族の話を聞くだけでは、主観的な視点に偏ってしまうからです。それを避けるためにも、並行して神経心理学検査を行います。これらは、数値などの客観的視点によって、認知症の判断を導くことが可能な検査です。

代表的なものとしては、長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEなどが挙げられます。どちらの検査も、受診者が検査者の質問に答えたり、計算をしたり、短時間で絵や図を記憶したりする内容が盛り込まれています。検査の結果、一定以下の数値が出た場合は、認知症の疑いがあると判断することができるのです。

MRIなどを使って脳の状態を把握する

受診者が認知症かどうかは、健康な人の脳の状態とどのように違うかが判断材料のひとつとなります。この違いは、脳の画像から調べることができるため、MRIの検査をすることが有効です。

その他にも、頭部MRIまたはCTスキャンや脳波測定などが実施され、より信頼性の高い結果を導き出すことが可能となっています。

まとめ

もの忘れ外来は、様々な角度から、認知症の疑いがあるかどうかを診断してくれます。そのため、「最近、もの忘れがひどい」「認知症の可能性があるかどうかはっきりしたい」などという思いがあれば、できるかぎり早くもの忘れ外来を受診することが大切です。認知症は、早期発見ができれば、適切な治療によって進行をゆるやかにすることも可能ですので、もの忘れ外来の存在を覚えておきましょう。

監修大阪市立大学大学院医学研究科 神経精神医学 講師
内田 健太郎先生
日本認知症学会専門医

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