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脳の仕組みから認知症を理解する

2020年3月23日

「家族が認知症になったら、まず何からすればいいか?」
病院の先生や経験者など、知っている人に相談してみることが大切だ。そうしていく中で、まずは認知症という病気を理解するために、脳の仕組みについて知っておくとよい。

脳の仕組みを知るとはどういうことか。
それは、脳がどうやって活動をして、どういった部分に深く関係しているのかを、順を追って知ることだ。

 

仕組みを理解する

脳の最も重要な働きは「情報伝達」で、その役割を担っているのは神経細胞だ。人間の脳には約140億個の細胞で構成されており、そのうちの約4%が神経細胞だ。
神経細胞からは軸索という太い枝のようなものが伸びていて、その先にあるシナプス(神経接合部)で他の神経細胞と繋がっている。

視覚、聴覚、味覚など五感から得た外部情報は刺激として、軸索を通り、シナプスを介して他の細胞に伝えられていく。情報を運ぶ役割を担っているのがATP(情報を感知するエネルギー源)と神経伝達物質で、神経細胞が働くことによって作り出されている。
この2つの物質が作られるためには「ブドウ糖」と「酸素」が必要になる。つまり、この2つの要素が不足すると、ATPと神経伝達物質を作り出す機能が低下して、それにより脳の働きは急速に悪くなっていく。

情報をやりとりする神経ネットワークの仕組みは、非常に繊細であるため、神経細胞が損傷等の異常が生じると、情報伝達が円滑に行われなくなってしまう。それが「神経細胞の衰え」である。

 

なぜ神経細胞は衰えるのか?

以上のことから、神経細胞の衰えが認知症に深く関係していることがわかったが、何故神経細胞はこわれてしまうのか?
壊れる原因によって、認知症は分類され、症状も異なる。それを大きく2つに「脳変性性」と「脳血管性」にわけられる。

脳変性性とは、変性によって神経細胞の死滅が広がり、脳が萎縮する病気だ。アルツハイマー型やレビー小体型など、脳内にタンパク質がたまり神経細胞が圧迫されてしまうことで、神経細胞が損傷して、認知症を引き起こしている。
原因となっているタンパク質が何故蓄積していくのか解明が難しく、現在では治療や予防に苦戦を強いられている認知症の一つだ。

一方の脳血管性は、脳梗塞や脳出血などが原因で起こったり、頭部外傷の後遺症や慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、特発性正常圧水頭症などの血流障害から起こるものがある。
こういった原因で、脳の神経細胞が死滅して認知症を引き起こす。神経細胞の働きが麻痺することが、認知症の直接の引き金になっている点は脳変性性と同じだが、そこへ至る原因や過程が異なっている。
そのため、予防や早期発見での処置で大きく改善がみられるケースが多い。

脳血管性の多くは生活習慣病が原因とされているもので、予防策として生活習慣病の改善が挙げられている。

 

脳の働きの仕組みを知り、何故認知症という症状へ至ったかを理解しておくことは、認知症に悩む方を理解する上でも大切なことだ。
介護へ望む家族やスタッフの方は、わからない状態でその場所へ立つのではなく、これを理解しておくだけで考え方や判断が変わるだろう。
また、自身が認知症に直面している人も、自分の症状と真正面から向き合うことが大切だということを知ってほしい。

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