高齢者は卵料理が好き?全利用者に聞いた人気メニューもご紹介!
当施設では、毎食主菜を選択できるサービスを実施しています。“豚肉の炒め物か鮭の塩焼き“といった感じです。
どちらの献立が人気かというと、その時に入所している利用者の好みによって偏りがあります。しかし、卵料理の人気は何年たっても変わりません。
「肉と魚なら魚が好き」「肉と魚なら肉が好き」というふうに、肉派もしくは魚派というのは迷わずはっきり答える方が多いのですが、ここに卵料理が参入すると、肉派の方も魚派の方も迷い始めます。
「卵焼きか、久しぶりやな」「これなに?卵?じゃあこっち(卵)にするわ」といった感じで、通年を通して根強い人気があります。
2018年に調査会社が行った【たまご料理】に関するアンケートの結果を見てみました。
全国の20歳以上の男女963人が参加したインターネット調査の結果、98.5%が卵を“大好き”“まあまあ好き”と答え、“あまり好きではない”“大嫌い”と答えた人はわずか1.5%でした。
また、卵料理の固さの好みは、“半熟派”と“とろとろ派”を足すと70.5%の人が支持していました。
そこで、全利用者を対象に、好きな卵料理の聞き取りをしてみました。「卵料理は何が好きですか?」と伺っても、「卵は好きなんだけど卵料理ってなにがあったかな・・。」という反応が多かったため、写真を見ていただきながら、選んでいただきました。
卵料理で簡単に思いつき、今までに食べたことがありそうな卵料理4品の写真を見ていただきながら、好きなもの、食べたい物を選んでいただきました。
聞き取りをした結果、1番人気はダントツのオムライス、2番人気は卵丼(親子丼)、次に卵焼き、オムレツと続きました。
施設の入所は女性が多いためか、同じご飯物でも食べ慣れた和食ではなく、洋食に軍配が上がったということで、さっそく人気の高かったオムライスを献立に反映していただきました。
調理師さんが提案してくれたのは石川県名物の【ハントンライス】でした。ハントンライスとはケチャップご飯に半熟の薄焼き卵と白身魚フライをのせて、タルタルソースをかけた料理だそうです。
オムライスもタルタルソースも利用者の大好物なため、とても喜ぶだろうな・・と、想像しただけで嬉しくなりました。
昼食に【ハントンライス】が提供される当日、厨房を見に行くと、とろとろ卵を袋からボールにうつしているところでした。いつものオムライス用の卵シートでご飯をくるむだろうと思っていた私は、初めて見た既製品のとろとろ卵にびっくりです。加熱しても固まらない不思議な卵をたっぷりのせたオムライスは、調理師さんの豪快な盛り付けによって、さらに食欲が増す出来栄えとなりました。
利用者の反応を確認するために喫食時間に伺うと、特に女性がペロっと食べ終わったようでした。
「今日のオムライスはいつもと違っていたけどどうでしたか?」と1人1人聞いてみると、「こんなお店で食べるようなオムライスがでてくるとは思わんかったわ」「毎日出してくれてもいいで」「あと3皿は食べられる」と、とてもハイテンションで答えてくれました。
男性利用者に尋ねると、「なんかごちゃごちゃして何食べてるかよくわからんなあ」という意見も・・。
次は男性利用者が好む豪華な卵料理を提供して、喜んでいただきたいと思います。
執筆:介護老人保健施設さやまの里 管理栄養士 西田 有里
この献立コラムは、介護老人保健施設さやまの里(大阪狭山市)の管理栄養士、西田有里さんが書いています。さやまの里では毎日昼夜、利用者さんはメニュー2種類から食事を選びます。食事の選択を聴いて回ることで利用者さんと食を通したコミュニケーションを深めています。