認知症とお酒の関係とは?アルコール性認知症を丁寧に解説!
認知症と言えば高齢者の病気というイメージが強いですが、実はアルコールの多飲とも密接な関係がある病気です。
本記事では、認知症とお酒の関係と「アルコール性認知症」について紹介します。
「お酒の飲みすぎは身体に悪い」というぼんやりとしたイメージではなく、飲みすぎの危険性を改めて知っておきましょう。
アルコールの影響について
適度な飲酒はストレスを緩和するなど身体に良いとも言われますが、アルコールの影響は二日酔いをはじめ、肝臓への負担やその他内臓を悪くし、依存症を引き起こすなどのデメリットもあります。
日常的な飲酒は、「脂肪肝」といって肝臓に中性脂肪が蓄積された状態を引き起こします。
断酒することで脂肪肝は治っていきますが、大量の飲酒を続けると肝臓が固くなり、肝機能が低下する「肝硬変」へと進行してしまいます。
肝臓の悪化だけでなく、生活習慣病や心不全、がんなどの発症リスクもあるため、日常的な大量飲酒は注意が必要です。
アルコール性認知症とは
大量飲酒によって認知機能の低下などの症状が生じることを、アルコール性認知症と言います。
アルコール性認知症の原因は、大量飲酒でアルコールの分解のためにビタミンB1が使われ、ビタミンB1が欠乏してしまう栄養障害や、飲酒による脳梗塞などが挙げられます。
また、高齢のアルコール依存症者の場合、認知症を発症している人が多いです。
あくまでアルコールが原因の認知症なので、認知検査の結果、アルコール以外に原因が見つからない場合に診断されます。
アルコール量の目安
アルコールの摂取については、耐性も適切な摂取量も個人差があることを理解しておきましょう。
国の健康政策として「健康日本21」では、純アルコールで1日20g程度が適度な飲酒量とされています。※1
- 5%のビール缶(500ml)1本
- 7~8%のチューハイ(350ml)1本
など
また、女性の場合、男性よりもアルコールの分解に時間がかかりやすい傾向があるため、女性の飲酒は少し控えめにする方が良いと考えられます。
適度な飲酒量はあくまで目安です。
少量の飲酒であってもすぐに顔が赤くなってしまう人は、脳の萎縮が進みやすいとも言われています。
アルコール性認知症の症状
①記憶障害
記憶障害は、食事をしたこと自体を忘れてしまうなどの重篤な物忘れを指します。
特にアルコール性認知症の場合、新しいことを覚えられないという記憶障害が特徴的です。
症状の進行によって記憶障害の悪化も進むため、会話を反復することや食事を小分けにするなどの進行を食い止める工夫が大切になります。
②見当識障害
見当識障害は、現在の時間や今いる場所・状況などが分からなくなってしまう状態を指し、他の認知症に比べて生じやすい特徴があります。
症状が進行すると人を間違えてしまったり、家族など自分と相手の関係性も分からなくなってしまったりする危険な症状です。
③作話
作話とは記憶障害の一種で、誤った記憶を補おうとして作り話をしてしまう症状です。
覚えていることをめちゃくちゃにつなぎ合わせてしまうことが多く、自分の記憶が誤っていることに気づいていないことが多いと言われています。
そのため、本人は人を騙そうとしていないことも特徴的です。
まとめ
「酒は百薬の長」とも言われる良い面もありますが、適切なアルコール摂取量には個人差があります。
大量飲酒をしてしまうと、身体の不調だけでなくアルコール性認知症の原因にもなり、症状は見当識障害や作話が顕著です。
身体も精神も健康に過ごしていくためにも、お酒を嗜む場合はリスクを知ったうえでコントロールしていきましょう。