認知症の家族とご近所トラブルの事例・対処法を解説
認知症を抱える本人は、記憶の混乱や認知機能の低下から思い込みで行動した結果、周辺の住人や店舗に迷惑をかけてしまい、家族が謝罪する事例も少なくありません。
家族にとっては「仕方がない」と思いながらも、心が折れてしまうときもあるかもしれません。
本記事では、認知症の家族を抱える方に向けて、認知症の家族とご近所トラブルで起こりやすい事例や対処法を簡単に解説します。
認知症の家族とご近所トラブルの事例
認知症の方は、症状の影響で自宅周辺に住む人たちとトラブルにつながることがあります。
認知症の家族とご近所トラブルで発生しやすい事例を見ていきましょう。
被害妄想や作り話で人間関係がこじれる
認知症の症状では、記憶の混乱や認知機能の低下が起こり、本人が日常生活に困難を感じる機会が多くなります。
認知症を抱えるもどかしさやつらい感情から自分の心を守るために、思い込みでウソの情報を近所の人たちに伝えてしまうことがあるのです。
たとえば「息子の嫁がわたしの分だけ食事を作ってくれない」や「近所の〇〇さんが睨みつけてくる」など、実際には起こっていない出来事でも、被害妄想や作り話をしてしまい、人間関係のトラブルを招きやすくなります。
予定を忘れてトラブルにつながる
記憶の働きが妨げられる認知症では、本人が決めた予定だとしても、悪気なく忘れてしまうことが多くあります。
家族や周りの人が認知症だと認識できていない段階の場合、相手には忘れている理由の真意が伝わらないのです。
町内会の集まりやゴミ出しの日時など、日常生活で習慣化されている予定を忘れてしまうと、ご近所の人たちと揉めてしまう可能性もあるでしょう。
徘徊でご近所に迷惑をかけてしまう
認知症の程度によっては、散歩や買い物にひとりで出かけてしまうと、自宅まで帰る道のりがわからなくなって迷子になることもあります。
また、認知症には不眠や昼夜逆転の傾向が見られるため、夜に眠れない不安感から家族に黙って夜中に家を出て徘徊することもあるでしょう。
住人や近隣の店舗の方が徘徊しているところを目撃して、家族に連絡がもらえることもあるかもしれません。徘徊で本人がケガをすることや、居場所がわからなくなることもあるため、捜索時には近所の人やさまざまな人に迷惑がかかり、家族の心理的な負担が大きくなります。
認知症を抱える家族ができるご近所トラブルの対処法
認知症の家族と一緒に暮らしている方で、ご近所トラブルにつながることに悩まれるときは、下記の対処法を参考にしてください。
地域包括支援センター・地域の民生委員を頼る
認知症を始めたとした高齢者の生活をサポートするのが、地域包括支援センターです。高齢者の徘徊・見守りSOSネットワークに登録できる制度もあるため、認知症の家族が迷子や行方不明にならないための予防につながるでしょう。
地域包括支援センターでは、介護サービスの相談支援を始め、認知症の方と暮らす家族の相談にも耳を傾けてくれます。
一方民生委員は、地域に住む人の生活をサポートする役割を担っており、認知症の方や家族の支えになってくれるでしょう。
相談場所はインターネットから検索するか、地域の役所で聞くと電話番号やサポート内容などの詳細を教えてもらえます。
ご近所の方にも相談して力を借りる
認知症の家族がいるときは、事前にご近所で交流のある方に相談しておきましょう。
認知症の認識があるとご近所からのサポートを得られます。また、認知症の症状から起こりやすいトラブルを未然に予防できるでしょう。
認知症の家族が遠方に住んでいるときは、家族が事前にご近所の方に声をかけておくことで、徘徊時やトラブル発生時に連絡網ができて、対応がスムーズになりやすいはずです。
認知症の方が日ごろ訪れる店舗にも事情を説明しておくなど、できる範囲で構いませんので、周囲の協力体制を整えてみてください。
まとめ
認知症の家族とご近所トラブルの事例や対処法を簡単に見てきました。
トラブルの事例には、認知症の症状から起こりやすい被害妄想、忘れやすさ、徘徊などがあります。認知症の症状から誤解が生まれると、ご近所付き合いの問題につながることもあるでしょう。
対処法として、地域包括支援センターや民生委員を頼ることで、認知症の症状がある本人を支援できるだけでなく、認知症を抱える家族の心理的な負担の軽減が期待できます。
ご近所の方には、事前に認知症だということを話しておくと理解が進み、ご近所トラブルの予防につながるでしょう。