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認知症患者は免許返納しないといけないの?

2021年6月10日

近年、高齢者の運転問題が多く取り上げられていますが、高齢者に見られやすい認知症と診断された場合、症状次第では免許取り消しや停止となる場合があります。
本記事では、認知症患者と免許の扱いや、免許取り消しを避けてメリットを得るための方法を解説します。
75歳前後の高齢者や認知症患者、そのご家族は是非最後までご覧ください。

高齢者の免許更新について

道路交通法の改定により、75歳以上のドライバーは高齢者講習の前に認知機能検査の受検が義務づけられました。
高齢運転者支援サイト(※1)の交通事故状況によると、高齢者の交通事故件数は10代以上に高く、全体の11.56%を占めています。

※1 事故等のデータ – 高齢運転者支援サイト

また、事故要因は信号の見落としや交差点での不注意が多いため、高齢者への検査実施は、加齢による注意力・判断力の低下が疑われている状態です。
具体的な検査の内容は以下の3種類です。

  1. 日時の認識力を測る「時間の見当識」
  2. 短期的な記憶力を測る「手掛かり再生」
  3. 空間認知や数の概念の正確さを測る「時計描写」

これらは警視庁のホームページでも確認可能です(※2)。
75歳以上でも認知機能に衰えのない人や、運転に自信がある人もいますが、検査にて自分の状態を客観視することで、安全運転の支援にもなり得ます。

※2 認知機能検査について|警察庁Webサイト

免許取り消しは認知症の程度次第

認知機能検査の結果は、症状の程度によって3種類に分類されます。
分類によって経過観察もしくは専門医の診断を受ける必要があるため、基準を事前に知り、スムーズに行動できるようにしましょう。

第一分類

第一分類は、記憶力や判断力が低下した状態で、認知症の恐れありと判断されます。
検査後は「臨時適性検査」という医師の診察を受け、診断書の提出が必要です。
専門医より認知症と診断されると、手続きの後に免許の取り消しまたは停止となります。

第二分類

第二分類は、記憶力や判断力が少し低下した状態で、認知機能の低下の恐れありと判断されます。
免許の更新は可能ですが、その後に違反があると即臨時適性検査を受ける流れになるため、注意が必要です。

第三分類

第三分類は、記憶力や判断力に心配がない状態で、認知機能の低下の恐れなしと判断されます。
第二分類と同様で、免許の更新は可能かつその後への注意は必要です。
分類上認知機能に問題はないかもしれませんが、運転には身体機能も必要なため、身体をうまく動かせないと感じる場合は運転を控えることも考慮に入れましょう。

免許取り消しよりも自主返納でメリットを得よう

75歳以上に義務づけられた認知機能検査を受け、さらに専門医より認知症の診断を受けた場合は免許の取り消しまたは停止となるだけでなく、自主返納も叶わなくなるデメリットがあります。
そのため、家族内で事前に自主返納を検討し、メリットを得てみましょう。
自主返納の手続きを行うと免許の代わりになる「運転経歴証明書」を受け取ることができ、以下のメリットを得られます。

  • 身分証になる
  • 無期限のため更新手続きは不要
  • 高齢者運転免許自主返納サポート協会加盟店で、公共交通機関などの各種割引が適用(※各自治体で異なる)
  • 老後や死後の支援になるものの割引(眼鏡や補聴器、相続相談など)

このようなメリットはありますが、運転を生きがいにする人も多いため、自主返納の相談は高齢者を傷つける可能性もあります。
家族が自主返納を促す場合は、メリットよりも相手の身を気遣う声掛けから検討することが望ましいでしょう。

まとめ

注意力や判断力の低下が目立つ高齢者に事故が多いことは確かであっても、認知症だからといって免許の取り消しや停止はおかしいという意見もあります。
高齢者および認知症患者の免許更新については、認知機能検査の結果を能力の客観視の参考にして扱いを決めることが有益かもしれません。
また、高齢者や認知症患者の気持ちを無視して免許の取り消しや停止となると不満は募りやすいです。
身体機能や認知機能を振り返り、身を案じた上で自主返納をしメリットを得てみてください。

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