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春を感じる食卓 第二弾 ~見た目と彩で春を味わう~

2021年5月4日

外はすっかり桜の季節も終わり、青々とした新緑がまぶしい季節となりました。お花見弁当をイメージした昼食が今年も4月初旬に登場です。今年は外出を控えなければならない状況のため、少しでも春を長く感じていただけるようにと、4月下旬にも提供しました。こうした行事食では、日ごろあまり使用していない食材を使ったり、少し手間のかかるものを入れてみたりすることで、普段と違った食事だと印象づける狙いがあります。

花見弁当でひときわ存在感を示しているのは、桜の型抜きをした「大根の梅酢漬け」です。梅干しの汁、酢、砂糖をさっと沸騰させ、そこに型抜きをした大根を入れ、火を止めて冷ましながらしみ込ませます。大根はほとんど火を入れずにシャキシャキ感を残し、合わせ酢は酢が飛ばないようにと加熱する時間を調整しています。

「今日は外でお弁当食べるんか?」「昔お弁当広げて花見していたの思い出すなあ」と、俵のおにぎりを頬張りながら、少しだけ花見気分を想い出すお手伝いができました。

おせち料理やお弁当に登場すると、手作り感が伝わる料理のひとつに「八幡巻き」があります。

八幡巻きは、野菜を肉や鰻、穴子で巻いた料理のことを言い、現在の京都府八幡市の郷土料理が発展したものだそうです。京都はごぼうの産地だったことで八幡の名がつけられたとのことですが、特に決められた具材はなく、当施設ではインゲンや人参を豚肉で巻いたものや、アスパラを牛肉で巻いたものが定番です。今回のお弁当では、色合いなども考えて、ごぼうを鶏肉で巻いた八幡巻きを献立にいれました。

高齢になると硬いものが噛み切りにくくなり、苦手意識から避けるようになる方がいらっしゃいます。特に根菜や厚みのある肉類は食べにくいと感じるようですが、当施設では根菜や厚みのある肉類には調理の段階で、酵素でできている軟化剤(株式会社フードケア:スベラカーゼミート)を溶かした液に漬け、肉や魚のパサつきを改善したり、野菜の筋がやわらかくなるように加工しています。やわらかくといっても全部が同じ食感では食べる楽しみが半減してしまうので、そうならないように注意し、当施設に合った硬さに仕上げています。

「昔はレンコンとか蕗の炊いたのよく作ったけどな、今は硬いの食べられへんからな」「魚は歯の隙間にはさまるから今はそんなに好きじゃないねん」食事を配膳すると、見た目は美味しそう。でも美味しく食べられるおかずは少ない・・。という声を聞くことがあります。「大丈夫、食べやすいやわらかさに出来ていますから、一口食べてみて」と声をかけ、見た目はいつもと同じでも、噛み切りやすいことを説明します。「この鮭、しっとりしてるな」「鶏の八幡巻き、ものすごいやわらかいわ」と、美味しく味わっていただけた声を聞き、来年こそは桜の下でお弁当を広げたいなと思いました。

執筆:介護老人保健施設さやまの里 管理栄養士 西田 有里

この献立コラムは、介護老人保健施設さやまの里(大阪狭山市)の管理栄養士、西田有里さんが書いています。さやまの里では毎日昼夜、利用者さんはメニュー2種類から食事を選びます。食事の選択を聴いて回ることで利用者さんと食を通したコミュニケーションを深めています。


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