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介護老人保健施設みあ・かーさ~家庭のような温かさと安心に包まれて~

2021年4月13日

浅香山病院(堺市堺区)の介護老人保健施設みあ・かーさはイタリア語で「私の家」を意味します。「ゆっくり、のんびり、あったかく。」をモットーに、家庭にいるように温かく安心できる雰囲気に包まれています。認知症専門棟の介護副主任、百田有里(ひゃくだ・ゆり)さんは「利用者さんが気分よく過ごせる雰囲気を大切にしたい」と話していました。

施設の特色を教えてください。

在宅復帰と在宅療養の支援に力を入れている老健施設です。
病院と家庭をつなぐ中間施設という側面もあり、入院している浅香山病院から移ってくる利用者さんも結構います。この施設で最期を看取る方もいらっしゃいます。利用者さんが一日一日、笑って楽しく過ごせるように「寄り添うこころ」を心掛けています。

利用者さんが住み慣れた地域に戻って生活できるようにチームケアに力を注いでいます。介護福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、支援相談員、ケアマネジャーといった多職種の職員が医療、介護、リハビリ、栄養などそれぞれの専門知識を活用して役割を分担します。「きょうは、こんな感じだったよ」と日々の情報を共有してチームの力で利用者さん一人一人に向き合っています。

ご自身のお仕事と役割をお話しください。

私は、平成8年に開設された当初からここで働いています。開設当時はまだ、介護保険制度が始まる前でした。働きながら介護の専門知識を学んで介護福祉士の資格を取得しました。今は、3階の認知症専門棟で介護副主任の役割を担っています。
私のように長年にわたって勤務しているベテラン職員も多く、働きやすい職場です。
以前、利用者さんの家族として面会に来られていた方が今度は利用者さんになって2世代続いて利用されている人も結構います。

利用者さんは家族の顔を見ないと、不安になります。新型コロナウイルス感染防止のために今は、ご家族の面会が制限されています。その点にはとても気を配り、リモート面会も活用しています。ご家族が洗濯物を持ってこられた際には1階に行って、ご家族に詳しく利用者さんの状態をお伝えします。

利用者さんに接する際、どんなことを心掛けていますか。

「利用してよかった」「元気になって自宅に帰れたよ」
ご家族が喜ばれることばも、利用者さんが笑顔で過ごされる姿も励みになります。

一人一人のニーズや欲求に合った個別ケアを大切にします。利用者さんは、微妙な環境の変化には敏感です。認知症で想像もつかない行動をされることもありますが、一人一人の生き方に寄り添ったケアに力を注ごうと話し合っています。利用者さんが何をしたいのか、ご本人の気持ちに寄り添えるように努めています。利用者さんが感情をうまくコントロールできないとき、遠くから離れて見守ることも、そばに寄り添って安心してもらうことも、状況に応じて複数のスタッフが役割を担い合って支えています。

日々、お茶会を開いて、コーヒーを飲んで、ゆっくり過ごします。
レクリエーションもあれこれ工夫していたのですが今はコロナ禍のために、毎日のようにあったボランティアの来訪やイベントが縮小されています。フラワーアレンジメントは、今も続いています。
音楽を聴いたり、塗り絵に取り組んだり、フロアでできることに時間を割いています。
音楽の好みはその人その人によって、さまざまですね。美空ひばりや北島三郎、演歌、民謡、童謡、クラシック……。音楽を聴いて元気な頃を思い出すのでしょうか。音楽はいつも流れています。フロアに音楽が響いていると利用者さんの反応はとてもいいですね。

今後、どんな取り組みを大切にしたいですか。

「ゆっくり、のんびり、あったかく。」というモットーを重んじて、ゆったりした雰囲気が漂う空間を大切にしたいですね。長く働いている職員も多いので、利用者さんにせかせかした気分を感じさせないことを大事にしています。

歴史のある浅香山病院と連携があることは強みだといえます。入院が必要なケースでも、すぐに浅香山病院を受診できますので、ご家族も安心できます。

おれんじねっとを通じて、伝えたいことをお願いします。

介護の仕事に対する理解は広がっていますがまだ、介護の仕事は大変だというイメージもあります。楽しいことも多く、やりがいもあり、人と人のふれあいで成り立つ仕事です。利用者さんの笑顔に救われています。

若い世代に、この仕事を知ってほしい。若い人にもっと、介護の分野で活躍してほしいと願っています。

身内に介護が必要な人がいらっしゃれば、どんなことでも気軽に相談してください。そのこともお伝えしたいと思います。

施設案内

公益財団法人浅香山病院 介護老人保健施設みあ・かーさ

所在地:堺市堺区今池町4丁4番12号
電話番号:072-229-9118
入所定員:100人(うち3階の認知症専門棟46人)
通所定員:40人

執筆:おれんじねっと記者  中尾卓司

1966年4月、兵庫県丹波篠山市生まれ。
1990年4月、毎日新聞入社。大阪社会部、外信部、ウィーン支局、社会部編集委員を経て、2020年3月、毎日新聞を早期退職。記者一筋に30年の経験を生かして、おれんじねっとの取材チームに加わり、記者活動を展開中。「つなぐ、つながる、つなげる」を掲げて新しい情報発信のかたちを提案している。
大阪大学箕面キャンパス「現代ジャーナリズム論」非常勤講師
関西大学社会学部「ジャーナリズム論」「時事問題研究2」非常勤講師

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