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認知症について知る

2020年3月5日

現在の日本は「超高齢社会」と言われる状態だ。
高齢者(65際以上)の人の割合が、人口の7%を越えたとき、その国は高齢化社会と言われる状態になる。日本が高齢化社会に突入したのは1970年のことだ。

それからも高齢者の人口は増え続け、わずか24年後の1994年には、高齢化率は14%を越えて「高齢社会」に突入した。この急速な高齢化には少子化の問題が関係している。
さらにその13年後、2007年には高齢化率が21%を越えて「超高齢社会」へと突入した。

認知症になる危険因子として最も大きなものが年をとること「加齢」である。今後も高齢化が進むにつれ、認知症という問題を抱える家族は爆発的に増えていくことになる。
年齢が上がるにつれて、認知症の有病率はぐんと高まる。前期高齢者(65〜74歳)では1.5〜10%という伸び率に対し、後期高齢者(75歳以上)で90歳までの伸び率は10.5〜64.2%まで増える。
このことからも、人生100年時代と言われる日本において、認知症は決して避けて通れない問題とされている。
※厚生労働省資料(日本医療研究開発機構 認知症研究開発事業 提供のデータより)

認知症にも種類があり、それぞれ原因や症状は異なっている。ここでは大きく4つの症例を紹介する。

まずは最も発症の割合が多い「アルツハイマー型認知症」だ。
多くの人が「アルツハイマー = 認知症」という認識をしているのではないだろうか。これは、アロイス・アルツハイマーという名のドイツの精神科医が最初に症例を報告したため、その名前をとって呼ばれている。

アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβという異常なタンパク質がたまり、それが原因で神経細胞が破壊され、脳に萎縮が起こって発症する。
もの忘れなどの記憶障害や、時間や場所がわからなくなる見当識障害といった認知障害が起こり、生活へ支障をきたすようになる。昔のことはよく覚えている場合が多い。
重度になると、自分で食事をしたり、着替えたりすることが困難になり、最終的には意識低下から昏睡状態へとなる。ただ、進行には個人差があり、重度になっても簡単な会話はできるケースもある。
全体で見て約6割が、このアルツハイマー型認知症に該当する。

約2割を占めるのが「脳血管性認知症」という、脳梗塞や脳出血が原因で、脳の血管性の障害によって起こる認知症だ。脳の血管が詰まったり出血したりすると、酸素や栄養が脳細胞に十分に行き渡らず、細胞が壊れてしまい、細胞が担っていた機能を失うことで認知症が起こる。

脳梗塞や脳出血を引き起こす主な原因は動脈硬化だ。高血圧や糖尿病、心疾患、脂質異常性や喫煙などといった生活習慣病からくるもので、現在は予防促進の効果もあって、脳血管性認知症の割合が減ってきている。

この認知症になると、記憶障害や歩行障害、排尿障害がみられることが多い。感情失禁という感情のコントロールが上手くいかなくなるケースも多く、突然泣いたり、怒ったりすることもある。
症状の現れ方が特徴的で、突然症状が出たり、落ち着いたり、急に悪化したり、大きな波を打つような起伏がある。男女の割合にも差があり、比較的男性の方が発症しやすい認知症だ。

割合では1割未満と少ない発症率だが、幻視の認知症と呼ばれる「レビー小体型認知症」がある。神経細胞にできる特殊なタンパク質のことをレビー小体と言い、このタンパク質が大脳皮質や脳幹に多く集まり、神経細胞が壊れてしまうことで認知症が発症する。大脳皮質は、物事を考えるときに中枢的な役割を担っており、脳幹は、呼吸や血液の循環といった人が生きる上で欠かせない役割を担っている。

この認知症の特色は「幻視」である。虫が飛んでいる、知らない人が歩いているなど、はっきりとした幻視をみるため、否定してしまうと逆効果になる。なので、本人にとっては見えているということを理解して、対応することが大切だ。
中にはかすかな言葉が聞こえるといった「幻聴」のある患者さんもいる。

4つ目は「前頭側頭型認知症」というものが代表的だ。脳の前頭葉と側頭葉が萎縮して、血流が低下することにより様々な症状が引き起こされる。
前頭葉は思考や感情の表現、判断をコントロールする部分とされていて、人格や理性的な行動、社会性に大きく関係してくる。
側頭葉では、言葉の理解、聴覚、味覚、記憶、感情を司っている。

特徴として、常識から考えると疑問に思える行動として現れることが多く、反社会的な行為だという自覚が無いまま「万引き」をしてしまうようなことがある。
また「常同行動」といって、同じ行動を繰り返してしまう症状もあり、何度も顔を洗っていたり、手を叩き続けたりなどが挙げられる。止めようと思って止められるものではないため、無理に静止させようとすると混乱を招いたり、衝動的な暴力に発展することもある。
こういった場合は、無理に止めようとせず「見守る」ことも重要だとされている。

認知症も様々で、どれに該当しているかによって症状の現れ方は大きく異なっているので、これを事前に理解し、それぞれにあった対処をすることを介護者には求められる。
患者さんの尊厳を守るため、すぐに否定をするのではなく、患者さんに共感してあげることや、付き合ってあげること、時には見守ってあげることが大切だ。
症状が現れたからと言っていきなり薬に頼ったり、行動の制限を課してしまうと、急激に悪化して寝たきり状態になってしまうといったことも少なくない。

現在の長寿大国日本では、認知症という問題に直面する人は多い。そして、それを支える上で最も大切になるのが家族の存在だ。
介護の方法、知識を備えておくことはもちろん、現在提供されているサービスをよく知り、上手く活用することが、今後大きな課題となるだろう。

参考文献 < ボクはやっと認知症のことがわかった : 長谷川一夫 >