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都島オレンジチーム ~チーム員・地域支援推進員 市川さん、真鍋さん、近藤さんのご紹介~

2020年12月3日

大阪市には24区ごとに一つずつ、認知症の困りごとに対応する認知症初期集中支援チーム「オレンジチーム」があります。都島区の都島オレンジチームを訪ねて、リーダーで保健師の市川(いちかわ)さん、看護師の眞鍋(まなべ)さん、社会福祉士の近藤(こんどう)さんに活動ぶりを聞きました。「笑顔あふれるまちに」。笑いが絶えないチームは、やわらかい空気に包まれていました。

都島オレンジチームの活動について、お話しください。

市川さん 都島オレンジチームは三人で活動しています。地域で担当分けするのではなく、情報共有しながら支援方法を話し合い、三人で都島区全域を担当しています。
ご家族や近所の人から相談を受けたら、最初は二人で訪問し、困りごとは何か、どの部分を支援すれば住み慣れた地域・自宅で生活できるかなどをアセスメントします。
今年は緊急事態宣言解除後に、周辺症状が現れる方が目立っていました。コロナ禍で外出できないことや人と交流できないことが背景にあるのかもしれません。

眞鍋さん 認知症になって体に異変をきたしている人を病院や介護サービスにつなぐことがチームの役割です。ご自宅を訪問して、ご本人やご家族に直接会って、生活や健康の状況を聞き取ります。根気よく、人と人の関係を作って、よりよい対応策を探ります。

近藤さん 私は、福祉や生活面の相談支援を担当しています。認知機能が衰えた方のお金の管理のために、後見制度を使える権利を伝える役割もあります。

都島区の特徴を教えてください。

眞鍋さん 新旧の住宅が混在している都島区は、今でも人情が通じるまちです。隣近所が支え合う人間関係が息づいています。チームには、認知症サポート医の医師もいます。医師がとても協力的でフットワークが軽く、往診にも気軽に行ってくださいます。出先までも出かけて、当事者の話を聞いてくれます。

近藤さん チーム員みんなで検討会議を開いて対応を相談します。健康の状態も、認知症の程度も一人一人、全く違うので、細かい事情を把握しておくことが必要です。相談だけの場合も含めて、オレンジチームが受けたすべての人の情報を共有しています。

市川さん 都島区の将来ビジョンは「安心のまち、人がつながるまち、明日に誇れるまち」です。地域のネットワークを通じて届く認知症のさまざまな相談を受けます。認知症の人が安心して暮らせるまちになれば、どんな世代も暮らしやすいまちになります。

利用者さんとのエピソードをお聞かせください。

市川さん ある男性は着替えもできない状態でも当初、支援を拒否されていました。「一人でええねん。ここで死ぬから」と。ところが、デイサービスのお風呂をお借りし入ってもらったことから関係は大きく変わりました。私たちを受け入れてくださるようになり、気持ちが通じました。信頼されるようになったことがうれしかったです。毎日のように通ってまずは、顔なじみになることから始めます。この人ならと信用してもらえる関係づくりに努めます。

近藤さん マンションの管理人さんやご近所の方から、住民の相談を受けることがあります。認知症の症状の把握も難しく、受診を拒否されることがあります。ご本人が心を許して受け入れてくれるまで向き合い、一つ一つの相談に丁寧にきめ細かく対応しています。

眞鍋さん 食事も生活も普通にできているけれど、何かがおかしいという方もいます。お茶を小鉢に入れるなど認知症が静かに進行している場合もあります。飼い犬に餌をやり過ぎて、家族がご本人の異常に気づいたケースもありました。そばにいる人が小さな異変を見つけることもあるので、周囲の人の温かい目も大切なんです。

おれんじねっとを通じて、伝えたいことをお願いします。

近藤さん 認知症は特別なことでありません。誰にとっても「お互いさま」といえる関係を築けるように、もっと地域の人に知ってほしいのです。「家族が認知症になりました」と当たり前に伝えられる社会になるように、地道な活動を重ねたいと思います。

眞鍋さん

介護保険の認定を受けているのに介護サービスを活用していない約200人の方を訪問すると「入ってください」と喜ばれる方が多かった。コロナ禍で外出して人に会えず、会話の機会が減って、家族の人以外と話すことに飢えている人もいます。
気軽に相談できる窓口を目指して、チームの活動を広報していきます。

市川さん 笑顔あふれるまちにしたいと願って、「笑顔を絶やさないように」と心がけています。一人で抱え込まないでほしい。人と人との関係を大切にしたい。オレンジチームも、私たちだけでは問題を解決できません。だからこそ、病院やケアマネジャーなどの関係機関、地域の人たちとつながっていきます。


都島オレンジチーム(都島区北部地域包括支援センター)
所在地:大阪市都島区大東町2-2-18
電話:06-6926-3803

〇大阪市の認知症初期集中支援チーム

執筆:おれんじねっと記者  中尾卓司

1966年4月、兵庫県丹波篠山市生まれ。
1990年4月、毎日新聞入社。大阪社会部、外信部、ウィーン支局、社会部編集委員を経て、2020年3月、毎日新聞を早期退職。記者一筋に30年の経験を生かして、おれんじねっとの取材チームに加わり、記者活動を展開中。「つなぐ、つながる、つなげる」を掲げて新しい情報発信のかたちを提案している。
大阪大学箕面キャンパス「現代ジャーナリズム論」非常勤講師
関西大学社会学部「ジャーナリズム論」「時事問題研究2」非常勤講師

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