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みどりケ丘介護老人保健施設~「ありがとう」感謝伝える関係に~

「みどりケ丘介護老人保健施設」(高槻市)は、利用者の立場に立ったサービスのために笑顔とチームワークをモットーにしています。事務長の益井彩さんは介護の現場に立ち続けて、「『ありがとう』と言える関係を大切にしたい」と話しています。

お仕事のきっかけを教えてください。

福祉を専攻していた大学時代は、老人保健施設の制度ができた時期でした。できたばかりの老健に実習に行きました。今も基本は同じですが、老健は、病院と自宅をつなぐ中間施設です。老健のリハビリを「生活リハビリ」と呼びます。
実習期間の2週間、一人のおばあちゃんに寄り添いました。「この人を見といて」と指示されたからでしたがそれがよかった。一緒にいる時間が長かった。元気に歩くそのおばあちゃんにずっと付き添い、その人とコミュニケーションが取れていると勝手に思っていました。30年以上も前に書いた大学の卒業論文のテーマは「認知症の人にも心がある」です。
その出会いのおかげで今の私があります。当事者の立場に立って考えることの大切さを教わりました。その経験をきっかけに、現場のソーシャルワーカーとして働いてきました。

この施設の特色を教えてください。


この施設が開設された平成7年12月当初から、ここで働いています。
25年間、同じ施設で働いていると、以前は、入所者の家族として通っていた人が今度は、入所者になって来られるケースもあります。
「まだ、いてくれてたんやね」と喜んでくださる。その人間関係を宝物と思っています。
「あの時、あなたがいてくれたから乗り越えられた」と感謝されると本当にうれしい。
多職種の職員がいて、ベトナムからの留学生の介護職員もいます。歯科衛生士も働いています。

口腔ケアをしっかりしないと最後まで、ご飯を食べられなくなります。歯があって、しっかり食べられることは、健康の維持に本当に重要です。歯をなめたらあかん。口腔ケアに取り組むようになって、肺炎も減りました。

どのような思い出がありますか。

在宅と入所を繰り返してくださる方もいます。看取りの場面に立ち会うこともあります。
利用者ご本人もご家族も「よかったね」と満ち足りた思いで人生の最期を迎えてほしい。この施設で、100人を超える方を看取りました。ご家族が満足して送り出す。その瞬間を積み重ねてきたと考えています。
不安を軽減するために、ご家族に寄り添い続けます。「大丈夫ですか」「後悔はありませんか」と声を掛けます。「やり残していることはありませんか」「心の整理はできていますか」とも問い続けます。
「最後に墓参りに行きたい」といった希望は可能な限り、かなえるように努めています。
家族から「ありがとう」と言われると、「こちらこそ『ありがとうの思いでいます』」と答えます。利用者ひとりひとりから、私たちの経験値を上げてもらっています。

職場のチームワーク向上のために、どんなことを伝えていますか。

職員たちには「あなただったら、どうしてほしいと思うの?」と問い掛けます。
「こんな対応をされたら、いややろう」と。誰でも「イラっ」となる瞬間はあります。その時のリセットの仕方を学ばせます。まじめな職員ほど頑張ってしまう。でも誰にも相性があり、長時間一緒にいたら合わないこともあります。互いのために、仕事の分担の交代を勧めて、「チェンジしてもいいんだよ」と伝えています。
利用者さんは、人生の経験が長いので、利用者さんから教わることも少なくありません。今でも、利用者さんと一緒に、おしゃべりを楽しんでいます。

おれんじねっとを通じて、伝えたいことをお願いします。

「ありがとう」と言えなかった利用者さんが家族に「ありがとう」と言えるようになると、それがリハビリになります。
認知症の人の思いを知り、その当事者に向き合えるかどうかがすべてです。
周囲が認知症の人に関心を持つと、できることはたくさんあります。職場体験に来た中学生がここで学んだことを生かし、地域の高齢者の異変に気づくこともありました。地域全体で高齢者を支える。みんなでそんなまちにできたら、もっと住みやすくなります。

施設紹介


社会医療法人祐生会 みどりケ丘介護老人保健施設
所在地:大阪府高槻市奈佐原4-7-1
電話:072-692-3111
入所定員:100人
通所定員:55人

執筆:中尾 卓司