成年後見制度、報告書骨子案「利用者にメリットを」
2020年3月2日
判断能力が不十分とされる認知症などの人を支援する「成年後見制度」をめぐり、厚生労働省の有識者会議は、利用者がメリットを実感できるような制度の改善を促す報告書の骨子案を示した。
最高裁も、後見人の業務実施状況を踏まえた上で、報酬を増減させる方法を示し、生活支援を促している。
現在の制度運用では、本人の意思尊重や生活支援等といった福祉的な視点が乏しいという指摘が相次ぐ。これは、財産保全のみが重視されているからである。
今回示した骨子案では、利用者の意思を尊重するガイドライン(指針)を作り、これを普及させるように求めた。
後見人が利用者のニーズを理解して、日常生活の支援に取り組んでもらうことが目的とされる。
また、「※任意後見制度」の利用も低迷していることに対しても問題視して、これの周知を求めた。
※本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人を、自ら事前の契約によって決めておく制度
成年後見制度では、各地の家庭裁判所が弁護士・司法書士・親族の中から後見人を選定して報酬を決める。今回示した骨子案とは別に、最高裁は後見人業務を必ず実施する事務と、必要に応じて担う事務に分けて、実施状況で報酬を増減させる考えをまとめた。
最高裁では、今後の考え方を踏まえ、各地の家庭裁判所で報酬の算定についてを具体的に協議することになった。