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脂質異常が認知症につながる?

2023年4月16日

こんにちは。
健康ラボステーションの竹本です。

今回は脂質異常症についてお話します。

いきなりですが、脂質異常が将来認知症につながる恐れがあることをご存知ですか?
米国で1940年代から行われている「フラミンガム研究」によると、35歳~50歳時点で中性脂肪の値が高かったり、HDLコレステロールの値が低かったりすると、アルツハイマー病のリスクが上昇することが明らかになっています。

若いからといってそのまま放置してしまうのは良くないことがわかります。

脂質異常症は、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の乱れだけでなく、遺伝によっても起こるとされています。その他にも、甲状腺機能低下症や副腎皮質ホルモン分泌異常、糖尿病や腎臓病などの他の疾患、ステロイドホルモンや避妊薬などのお薬による影響もあると言われています。

ちなみに、脂質異常症は以下の3種類のタイプに分かれます。

・高LDLコレステロール血症

原因:肉の脂身やバター、インスタントラーメンの摂り過ぎなど

LDLコレステロール:体の細胞を作るときに必要なコレステロールを体の隅々まで運ぶ働きがある。これが増えすぎると、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクを高める可能性がある。

・高中性脂肪血症

原因:甘い物やお酒、油物の摂り過ぎなど

中性脂肪:エネルギー源のブドウ糖が不足した際に補う働きがある。過剰になると皮下脂肪や内臓脂肪に変わる。

・低HDLコレステロール血症

原因:肥満や喫煙、運動不足など

HDLコレステロール:体の余分なコレステロールを回収する働きがある。


出典:日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患ガイドライン2022年版」

LH比とは?

新しい診断の目安として、「LH比」が注目されています。LH比とは、血液中のLDLコレステロールとHDLコレステロールの比を表しています。

LH比は、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」で求めることができます。LDLコレステロール値が正常でも、HDLコレステロール値が低いとLH比が高くなります。LH比が高くなると心筋梗塞を起こしやすくなると考えられているため、予防には両方のバランスが取れているということが重要です。

脂質異常症を予防するポイント

では、どのようにして脂質異常症を予防すれば良いのでしょうか?
いくつかポイントをお伝えします。

① コレステロールを控える

食事から摂ったコレステロールが、そのまま血液中のコレステロール値に反映されるわけではありませんが、コレステロール値が気になる方は、コレステロールが多く含まれる食品(鶏卵や魚卵、レバーやモツなどの内臓)を控えるようにしましょう。また、ロース肉やばら肉を、脂身の少ないヒレ肉やモモ肉に変えると、簡単にコレステロールの摂取量を抑えることができます。

② 食物繊維を摂る

食物繊維は胃や腸の中をゆっくり移動しながら、コレステロールや中性脂肪を包み込み、体外へ排出する働きがあると言われています。
食物繊維は平均摂取量で見ると、目標量より大幅に不足しているわけではありませんが、意識しないと不足しやすいため、毎日意識して摂るようにしましょう。
食物繊維は豆類や野菜類、きのこ類、藻類に多く含まれています。主食の白米を玄米や麦ごはんに変える、1日1品小鉢をプラスするなどの方法で毎日の食事に取り入れるようにしましょう。

③ 腹八分目を意識する

エネルギーを過剰に摂取してしまうと、余ったエネルギーが中性脂肪として体内に蓄積されてしまうため、肥満を防ぐためにも腹八分目を意識することがとても大切です。腹八分目というのは、実践してみるとなかなか難しいため、以下の内容を試してみてください。

1.  おかずは小さなお皿に盛る

おかずを大皿に盛っていると気付かない内に食べ過ぎてしまいがちです。食べる分だけ小さなお皿に盛り付けることで、そもそもの食べる量を減らすことができます。

2. 野菜やきのこ、海藻を増やす

野菜やきのこ、海藻の料理はよく噛むため、満足感アップにつながります。これらの食品はエネルギーも少ないため、積極的に取り入れることをおすすめします。

3. ひと口食べるごとに箸を置く

箸を持ち続けると次から次に食べ物を口に運ぶことになるため、早食いになり、食べる量が増えてしまいます。ひと口食べるごとに箸を置くことで、食べるペースがゆっくりになり、満腹中枢が刺激されることで食べ過ぎを防ぐことができます。

④ 運動不足を解消する

運動は、血中の中性脂肪を下げ、HDLコレステロールの値を増やすことで、血中脂質の改善効果があると言われています。息が少し弾む程度の運動(3メッツ以上)を中心に毎日合計30分以上を目標に行いましょう。ちなみにメッツとは、運動や身体活動の強度を表す単位のことを言います。安静時を1メッツとし、安静時と比較して、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。10分間の運動を3回実施して合計30分以上行った場合、1回で30分以上運動を実施したときと同様の効果が期待できます。

1回の運動で血中脂質は変化しないため、継続して行うことが重要です。時間がとれない方は、歯を磨くときやテレビを見るときに、スクワットやかかとの上げ下げなどの運動を取り入れるようにしてみましょう。

脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、意識を変えるのはなかなか難しいですが、将来の病気を予防するために、今回の記事がご自身の生活習慣を変えるきっかけになれば幸いです。

作成:認定NPO法人 健康ラボステーション 管理栄養士 竹本 舞花

武庫川女子大学卒業後、2020年4月に認定NPO法人健康ラボステーションへ入社。管理栄養士の資格を所持。
減塩を意識したレシピの考案や、Instagram、メルマガなどのSNSで健康コラムの情報発信を行っている。

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