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高齢者が笑顔で輝く シニアファッションショー 河内長野市で開かれる

2021年11月15日
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介護施設やデイサービスの利用者ら高齢者がモデルとなったシニアファッションショーが10月24日、河内長野市立市民交流センター・イベントホールでありました。
8人のシニアの女性がカラフルなドレスや華麗な和服に身を包み、明るい音楽に合わせて登場するたびに、大勢の人が集まった会場から拍手かっさいを浴びていました。

シニアファッションショーは、医療と介護と地域がつながる「第10回いきいきフェスタ」の一環として、河内長野市東部地域包括支援センターの峯山さん、いっぽケアプランセンターの藤田さんをはじめとした河内長野市内の介護事業の方々が主軸となるいきいきフェスタ実行委員会の運営のもと開かれました。

大阪千代田短期大学の青木先生とゼミの6名の学生さんも参加され、実行委員と学生さんたちが、出演されるモデルさんひとりひとりのご自宅へ出向き、衣装や音楽を決めるために丁寧にお話をうかがい、その方の人生にフィットした衣装をプロのスタイリストに協力してもらい当日を迎えました。

出演者はカラフルなドレスや明るい和服姿で着飾って、軽快なリズムや演歌、特徴的な音楽に合わせてゆっくりゆっくりと、風船も飾られた赤いじゅうたんの上を進みます。

大阪千代田短期大学(河内長野市)の学生6人やお孫さんたちがエスコート役を務めました。若い頃のエピソードも紹介され、出演者は最高の笑顔を浮かべていました。エスコート役の学生やお孫さんと一緒にポーズを決めると、大きな拍手が沸き起こりました。


91歳の出演者も、杖をついた出演者も、晴れ着姿を満足そうに披露し、壇上では記念の花束を受け取りました。

オードリー・ヘップバーンをイメージした白色のドレスや、若い頃に活躍したバスガイドの制服姿で登場する出演者もいて、会場は大いに盛り上がりました。

最終8組目に、ウェディングドレスに身を包んだカップルが登場すると、ひときわ大きな拍手に包まれました。

会場内では、ドローンで撮影した映像も映し出され、ユーチューブによるライブ中継もありました。

シニアファッションショーの魅力について、倉橋健太さんにお聞きしました。

いきいきフェスタ実行委員会から委託を受け、運営を担うフクシル株式会社代表取締役、倉橋健太さんに、シニアファッションショーの魅力について、お聞きしました。

シニアのファッションショーを始めたきっかけをお話しください。

2014年の七夕の日にはじめて、神戸市の結婚式場を借りて、シニア向けのファッションショーを開きました。フクシルは、ファッションショーのプロデュースを専門にしている会社です。

「きっと面白いよね」。独立前に勤めていた会社の女性社長と食事の席で高齢者を対象にしたファッションショーの話題で盛り上がり、そのノリで始めました。実際にやってみると、とても盛況でした。

そのとき、特別養護老人ホームの施設職員から「出演したいと希望する入所者が2人います」と連絡を受けました。「特養って何ですか?」という話から始まって、「ぜひどうぞ」と出演してもらいました。
「対象は50歳以上」と決めただけで、要介護の人の出演までは想定していませんでしたが、80代の認知症と車いすの2人が出てくれました。趣味や人生を楽しんでいる50歳代の人だけでなく、施設に入所する80歳代の人にも喜ばれるので、シニア向けのファッションショーを積み重ねてきました。

どんな準備がありますか。

モデルになるご本人の若い頃の思い出を物語風に紹介するためにも、衣装の好みを把握するためにも、準備には時間を掛けます。今回は、3カ月くらい準備に時間を掛けて、学生さんがご本人に対するヒアリングを担当してくれました。

趣味は何ですか? 好きな映画は? 好きな服は? 思い出や音楽の好みなどいろいろと聞き取ります。うちが持っている衣装リストから、希望を聞いて、モデルさんに合った衣装を準備します。車いすから立てない人専用の衣装も用意しています。

今回やってみた感想はいかがですか。

コロナ感染対策で、来場者の人数を制限していると聞いていたのですが、大勢の人に来ていただき、盛大にできたので、とてもうれしいです。出演者のみなさんは、とても緊張されていました。

ショーが終わると、みなさん笑顔になって本当に幸せそうでしたね。出演された人の喜んだ表情を見ると、私たちスタッフもうれしくなります。

大勢の観客の前に出て、普段感じることのない緊張感に包まれて、大きな拍手を浴びる経験は、きっといい思い出として残ります。

どんなところに、やりがいを感じますか。

年齢がいくつになっても、病気や障害、認知症があっても、主役になる場があるって、素晴らしいなと思います。

背の高い美女や美男が登場する当たり前のファッションショーでなく、普通の人がきれいな衣装を身にまとって、拍手かっさいを浴びてもいいんだ、ということを示せます。普通の人の自己表現を応援できることに、やりがいを感じています。

コロナ禍では、どんな影響がありましたか?

コロナ禍では、多くのイベントが延期となって、かなり大きな打撃を受けました。

これまで打ち合わせは、対面が原則だったのですが、コロナ感染拡大を受けて、オンラインで打ち合わせをできるようになりました。今回のファッションショーも、オンラインで配信もされました。コロナ禍は大変でしたが、マイナス面だけでもありません。

シニアファッションショーにどんな価値がありますか。

歌がうまいとか、ダンスが上手とか、しゃべりがうまいとか、人の注目を浴びるためには才能がいりますね。
才能がない人は普通、注目されません。それでも、好きな衣装で着飾って、自分の人生を表現できる服を着て歩くだけでもショーになります。何もできなくなっても、輝ける場を演出できることに価値があると考えています。

かつて輝いていた時代は、年齢を重ねると遠い過去かもしれません。シニアファッションショーは、高齢になった人が再び輝いてもらえるチャンスを提供できるので、値打ちがあると信じています。障害のある人も、認知症の人も、健康な人も一緒になって楽しめることに意味があります。

今後に向けたアピールをお願いします。

コロナ禍では、お祭りのようなイベントの自粛ムードが広がりました。高齢者施設に入所している人も、普通の人も、みんなが一丸となって、一つになれると楽しいですね。出演者も、ご家族も、施設の職員さんも、ケアマネジャーさんも、自治体の職員さんも、みんなが楽しみながら一つになれるイベントを目指しています。
多くの人に知っていただき、チャレンジを続けたいと願います。
多くの人が世代を越えて、みんなが笑顔になれる場を全国に広げたいと願っています。

■フクシル株式会社

執筆:おれんじねっと記者  中尾卓司

1966年4月、兵庫県丹波篠山市生まれ。
1990年4月、毎日新聞入社。大阪社会部、外信部、ウィーン支局、社会部編集委員を経て、2020年3月、毎日新聞を早期退職。記者一筋に30年の経験を生かして、おれんじねっとの取材チームに加わり、記者活動を展開中。「つなぐ、つながる、つなげる」を掲げて新しい情報発信のかたちを提案している。
大阪大学箕面キャンパス「現代ジャーナリズム論」非常勤講師
関西大学社会学部「ジャーナリズム論」「時事問題研究2」非常勤講師

 

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