認知症患者が入浴拒否する原因と対処とは
認知症患者が入浴を嫌がることは、実はよくある困りごとの1つです。
入浴拒否は介助する家族だけでなく、認知症患者本人にも困り感がある場合があります。
今回は、認知症患者が入浴を拒否する原因と対処について解説します。
入浴介助に困るご家族は、是非最後まで読んでみてください。
認知症症状と入浴
認知症患者の場合、元々入浴が好きだった人でも急に入浴拒否してしまうことがあります。
認知症の症状と入浴には関連があり、記憶障害が進むと入浴手順が分からなくなる場合が多いです。
また、認知機能や運動機能が低下することで、十分に身体を動かせなかったり誤って転倒してしまったりすることもあります。
私たちは普段入浴の仕方を気にしませんが、認知症患者は入浴という行為がとりづらくなることをまず理解しておきましょう。
入浴拒否の原因
怒ったりごまかしたり入浴拒否の仕方は様々ですが、認知症患者にとっては入浴を嫌がる原因が何かしらあります。
認知症の症状と関係のある代表的な入浴拒否の原因を3つ解説します。
入浴の思い込み
記憶障害や認知機能の低下などの認知症の中心的な症状が見られると、「さっきお風呂に入った」という入浴の思い込みや「お風呂に入ったけどそれはいつだっけ?」という物忘れが目立ちます。
また、認知症の場合、思考や判断力が低下するため「お風呂に入るほどまだ自分は汚れていない」と思い込んで入浴拒否することもあります。
本人は入浴した、入浴の必要がないと思い込んでいるため、介助する家族とはケンカになりやすい原因の1つです。
面倒くさい
「面倒くさい」という理由で入浴拒否する高齢者は多いですが、認知症患者の場合では「入浴したいけどできない」という可能性が高いです。
記憶障害や実行機能障害のため、思い通りに衣服の着脱ができなかったり入浴手順が分からなかったりします。
認知症でない人にとって簡単な動作でも、認知症になると1つの行動が億劫になりやすいことを知っておきましょう。
恥ずかしい
元々はできていたことができなくなるということは、恥ずかしさにつながりやすいです。
- お風呂場で何をすればいいか分からない
- きちんと身体を洗う自信がない
- 介助されたり裸を見られたり、入浴について注意されるのが嫌だ
- うまく入浴できない自分が嫌だ
など
認知症患者にも恥や不安などの感情はあるため、恥ずかしさを回避するために入浴拒否することも多くあります。
入浴拒否の対処法
認知症患者の場合は症状からくる入浴拒否であり、拒否の仕方は曖昧なことが多いです。
また、しつこく促すと「入浴を強要された」という嫌な記憶につながりかねません。
本人がどうしてお風呂に入りたくないのかをしっかり確認して、以下のような対処をとってみましょう。
具体的に伝える
認知症患者の場合、「お風呂に入ろう」と促されても身体をうまく動かせず、お風呂場での手順が分からなくなってしまっていることがあります。
そのため、「服を脱いで、湯船に浸かって、身体を温めておいでよ」など具体的な動作を伝えてみましょう。
一連の行動が分かると、入浴への不安や恥ずかしさが減り、行動しやすくなります。
また、好みの入浴剤を見せ、入浴することで気持ちよくなれるメリットも伝えることで入浴への抵抗を減らすことも期待できます。
拒否が強いときは強要しない
どうしても拒否が強い場合は入浴を強要しない判断も必要です。
「汚れてきたからお風呂に入りましょう」と促しても反感を買ってしまうため、強く拒否されるときは他の方法を提案してみましょう。
身体の清潔を保つ手段として、お風呂以外にも濡れタオルで身体を拭くなどが可能です。
本人が入浴に納得できるように話し合うことも効果的です。
まとめ
認知症患者の入浴拒否は、記憶障害などの症状による動作困難や恥、不安といった理由があります。
本人がどうして入浴を嫌がるかを知り、納得してもらうことが大切です。
強要ではなく、優しい言葉かけでお風呂を楽しんでもらいましょう。