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梅雨を乗り切って夏を迎える献立 ~視覚ではなく味覚で食欲を刺激する~

気象庁の発表によると、今年の近畿地方の梅雨入りは例年より21日間も早い、5月16日でした。これは統計史上最も早い梅雨入りだったようです。心地よい気候もあっという間に過ぎてしまい、蒸し暑い日が続いています。施設館内は空調が効いていますが、夏に向けてなんとなく食欲が低下する時期です。そのため、食欲が刺激されるような献立を意識的に採用していく時期でもあります。

食欲を刺激したい献立には、レモンをよく使用します。魚のレモンマリネや、さつま芋のレモン煮などは定番メニューで、冷たい麺類も人気があります。定番ばかりでは代わり映えしないということで、いつもの冷やし中華とは別の具材を使用した冷麺を、調理師さんが提案してくれました。

“瀬戸内レモン冷麺”は広島県を中心に、よく食べられているもので、瀬戸内でとれた「瀬戸内レモン」を使用し、冷麺のつゆに瀬戸内レモンの皮を入れ、さっぱりとした酸味が感じられます。

認知機能の障害のひとつに【失認】という症状があり、当施設では事故を防止するために、口に入れてはいけないものはお皿にのせないという決まりがあります(バランやカップ、小袋の調味料など)。【失認】とは、「ある感覚を介して対象物を認知することの障害」と定義され、視覚的に対象を認知できないのも症状の1つです。

例えば、“瀬戸内レモン冷麺”をSNSで検索すると、大量のレモンの輪切りを散りばめた献立の物が登場します。しかし、当施設でレモンの輪切りを大量に散りばめた冷麺を提供すると、レモンと麺を一緒にすすって食べてしまう利用者様がいるでしょう。レモンの輪切りはもちろん食べ物なので食べていいのですが、大量となると注意が必要です。「どうしていつもと違う味がするのだろう」と思っても、レモンの輪切りが原因と気づいて避けていただけるとは限りません。「いつもと違う」「なんとなく美味しいと思わない」という感覚がでてきたとしても、【失認】によって原因となる情報を得ることができないこともあります。

私たちのように「これは一口で食べると辛そうだな」「酸っぱそうだから食べずによけよう」というように気づくことが難しい場合もあるので、今回の瀬戸内レモン冷麺のレモンは果汁を麺のつゆにいれて提供しました。

今日、6月30日は水無月を食べる日で、「夏越祓(なごしのはらえ)」という行事に関係しています。「夏越祓」とは「水無月の祓い」とも呼ばれていて、1年の折り返しである6月30日に、この半年間の罪や穢れを祓って残りの半年の無病息災を祈願する神事のことを言います。

水無月という和菓子は、白色のういろう生地に小豆をのせ、三角形に切って提供する和菓子です。小豆には悪魔払い、三角形は暑気を払う氷を表しているそうです。

当施設でも3年前から手作りで、6月30日のおやつの時に、提供しています。さっぱりした食事とおやつで、今年の夏も元気に乗り切っていただきたいですね。

執筆:介護老人保健施設さやまの里 管理栄養士 西田 有里

この献立コラムは、介護老人保健施設さやまの里(大阪狭山市)の管理栄養士、西田有里さんが書いています。さやまの里では毎日昼夜、利用者さんはメニュー2種類から食事を選びます。食事の選択を聴いて回ることで利用者さんと食を通したコミュニケーションを深めています。


 

 

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