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認知症があると熱中症になりやすい?記憶や見当識障害が関係

2021年6月24日

認知症高齢者の体調管理を行う際に注意したい熱中症。認知症があると脱水になりやすく、熱中症のリスクが高まります。認知症と脱水、熱中症の関係や対策を解説します。

熱中症とは

熱中症は、高温で湿気の多い場所に長時間いた時に、体の中の水分や塩分のバランスが崩れてうまく体温が調節できなくなる状態です。
熱中症の症状は、気分不良、めまい、手足のしびれ、頭痛、吐き気、嘔吐、だるさ、体の熱さ、意識消失などがあります。
重い熱中症で救急搬送されるケースも報告されています。熱中症は命に関わることもあるため注意が必要です。

参考:厚生労働省 熱中症リーフレット

高齢者が熱中症になりやすい理由

高齢者は熱中症のリスクが高いと言われます。年を取ると様々な老化現象が起こり、脱水になりやすいためです。
高齢者では、自然な体の変化として体に蓄えられる水分が少なくなります。加齢にともなってのどの渇きを感じる力が落ち、水分摂取量が減りがちです。
また、トイレが近くなるのを気にして水分摂取を控えることも重なり、高齢者は脱水になることが多く、熱中症になりやすいと言われます。

参考:厚労省 熱中症予防のために<ご注意>

認知症高齢者が脱水になりやすい理由

認知症高齢者はさらに熱中症への注意が必要です。記憶障害や見当識障害、判断力の低下があることで、脱水を引き起こす行動を取ってしまうためです。

認知症があると熱中症になりやすい3つのケース

認知症の症状が熱中症の原因になるケースを見ていきましょう。

1.エアコンの調節が難しい

熱中症予防にはエアコンの適切な利用が大切ですが、記憶障害や判断力の低下などの認知様々な認知症症状により適切にエアコンを使うのが難しくなります。
記憶障害のため「エアコンをつけること」自体を忘れたり、「エアコンのリモコンがどこにあるのかわからない」「スイッチがどれかわからない」など、リモコンの置き場所や操作方法を忘れたりすることがあります。
見当識障害や判断力の低下により、「暑いからエアコンをつける」という判断が難しくなることも関係します。

2.水分を摂るのを忘れる

認知症高齢者では、記憶障害のため食事や水分を摂るのを忘れることが少なくありません。高齢者はのどの渇きを感じにくくなることも重なり、水分摂取量が不足しがちです。

3.服装の調節が難しい

認知症高齢者は、見当識障害と判断力の低下のため季節に合った服装をするのが難しくなります。服装を調節できず、夏でもセーターを着込んで厚着をしてしまうことがあります。適切な服装を選べないことが熱中症のリスクにつながります。

認知症高齢者への熱中症対策のポイント

認知症があると自分で判断して行動するのが難しくなるため、熱中症を予防するためには周りの人のサポートが必要です。周りの人が環境を整えたり、熱中症が起こっていないか観察したりしましょう。

水分摂取を工夫する

水分摂取を促すことが大切です。水分を飲むのを好まない時は、寒天やゼリー、果物などのデザートで水分補給をすると良いでしょう。
食事の際に汁物を添えると、水分と塩分が同時に摂れるため熱中症予防に効果的です。

室温や服装に気を配る

認知症高齢者に任せてしまわず、周囲の人が室温を確認してエアコンを調節しましょう。また、気温に合った服装をするように声をかけます。

温湿度計や熱中症警戒アラートを利用する

環境庁が出している熱中症警戒アラートを活用するのも良い方法です。(環境省熱中症予防情報サイト
体感に頼って熱中症対策をすると適切な判断が遅れることがあります。温湿度計を部屋に設置すると客観的に熱中症のリスクを判断できます。
室温や熱中症警戒アラートといった情報をもとにエアコンの適切な利用や服装に気を配るなどのケアを行いましょう。

まとめ

認知症高齢者が熱中症になりやすい理由を知り、効果的に対策をしていきましょう。

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