認知症に対するリハビリとは?自宅でできる方法をご紹介!
認知症は認知機能障害が発生したり、BPSDと言って性格や行動が変わったりしてしまう脳の病気です。
様々な症状を引き起こす認知症の進行を抑制するためには、リハビリがとても重要になってきます。
今回は、認知症に対するリハビリの効果や種類、自宅でできる方法をご紹介します。
認知症に対するリハビリの効果は?
認知症に対するリハビリには、主に認知機能の改善や進行抑制、行動・心理症状(BPSD)の改善に効果があると報告されています。
これらの効果はリハビリによって脳を刺激し、活性化させることによるものです。
また、リハビリの中には集団で行うものがあり、集団でのリハビリには認知症の方の不安や混乱を抑制し、BPSDの改善に効果が期待できます。
認知症リハビリの種類
認知症のリハビリには、どのような種類があるのでしょうか?
ここでは、具体的な認知症リハビリの種類をご紹介します。
運動療法
運動療法は身体を動かして、認知症の予防や進行を抑制するリハビリです。
運動不足になりがちな認知症の方の筋力や体力の維持・向上、血液の循環を良くして脳への血流を増やし、活性化させます。
また、運動で程よい疲労感を得られるため、昼夜逆転になり不眠傾向となる認知症の方の生活リズムを整えてくれるでしょう。
運動療法は無酸素運動よりも有酸素運動において、認知機能への効果が高いと報告されています。
認知刺激療法
認知刺激療法は計算や漢字の書き取り、将棋などで脳へ刺激を与えるリハビリです。
一時期流行った、脳トレをイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
認知刺激療法は、特に軽度から中等度の認知症の方の認知機能の改善に効果が高いです。
ゲーム性を取り入れて行えるリハビリなので、導入しやすいリハビリになります。
回想法
回想法は認知症の方に昔の体験を思い出したり、過去の経験を語り合ったりするリハビリです。
認知症の方は最近のことや新しいことを記憶することは苦手ですが、昔の記憶は維持しやすいという特徴があります。
回想法ではこの特徴に注目して、昔の写真や音楽などで脳を刺激し、認知症の進行を予防します。
また、昔の思い出に浸ることで精神的な安定が得られ、不安や混乱を和らげられます。
音楽療法
音楽療法は音楽を聞いたり、歌を歌ったりして音楽に触れることで認知症の症状改善を目指すリハビリです。
音楽にはストレスの緩和や脳の活性化、免疫機能の向上など様々な効果が報告されています。
認知症に対する音楽療法では、これらの音楽の効果を利用したり、歌いながら楽器を弾いたりして、脳を刺激して認知症の症状改善を促します。
自宅でできる認知症リハビリの方法
認知症のリハビリに様々な種類があることをお伝えしましたが、自宅でできる方法としては運動療法がおすすめです。
なぜなら、運動療法は専門的なやり方や知識を知らなくても取り入れやすいリハビリだからです。
また、運動不足で筋力が衰えると活動が低下して、認知症が進行する可能性が高くなります。
そのため、将来の認知症の予防や進行抑制のためにも、次に紹介するリハビリを行ってみてください。
スクワット
いくつになっても健康的に歩くためには、足腰の筋力が重要です。
足腰の筋力を鍛える運動としては、スクワットがおすすめです。
スクワットは足を肩幅に開き、背筋を伸ばしたまま、椅子に座るようにお尻を後ろに落としていきます。
バランスが崩れてしまう方は、前方に椅子やテーブルをおいて支えながら行いましょう。
はじめは10回〜15回×3セットを目安に行い、徐々に増やしてください。
ラジオ体操
日本人のほとんどの方はラジオ体操をやったことがあると思います。
回想法の項目でもお伝えしましたが、認知症の方は比較的、昔の記憶が保たれていることが多いです。
そのため、ラジオ体操は取り入れやすい運動といえます。
また、ラジオ体操は音楽に合わせて行う運動であるため、音楽の効果を取り入れて楽しみながら行えます。
コグニサイズ
コグニサイズは運動と認知課題を組み合わせた、国立長寿医療研究センターが開発した運動です。
認知機能を刺激しながら身体を動かすため、脳を刺激し、活性化させます。
参考:国立長寿医療研究センター|認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」
認知症リハビリを行うときの注意点
認知症リハビリを行うときには、次にあげる点に注意しながら行うようにしましょう。
体調面に配慮する
認知症の方の多くは高齢の方が多いです。
そのため、認知症以外にも病気があったり、身体機能が低下していたりする可能性があります。
リハビリをする時には、リハビリ前後での血圧測定やリハビリ中に体調を伺うように心がけましょう。
転倒
リハビリには身体を動かすものがあり、このようなリハビリは転倒するリスクが考えられます。
せっかく認知症の改善や健康を目的としてリハビリをしているのに、転倒して怪我をしてしまっては元も子もありません。
リハビリを行うときには、転倒しても安全なようにマットを敷いて行うなどの対策をしましょう。
無理に行わない
リハビリを行うときは、無理に行わないようにしましょう。
無理にリハビリを行っても上手くリハビリをすることが出来ないばかりか、リハビリを嫌いになってしまう可能性もあります。
リハビリは認知症の方のやる気を引き出すようにしたり、参加したくなるようなゲーム性を取り入れたりして、自発的にやりたくなるように工夫しましょう。
まとめ
認知症は進行性の病気であり、完全に治すことは困難な病気です。
ですが、リハビリを行うことによって、進行を抑制したり、予防したりすることはできます。
今回、紹介したリハビリを参考に実践してみてはいかがでしょうか。
監修大阪市立大学大学院医学研究科 神経精神医学 講師 内田 健太郎先生 日本認知症学会専門医 |