自炊をして、認知症を予防・ケアしよう
こんにちは!健康ラボステーションの樋口です。
前回、認知症を予防する食事法「マインド食事法」をご紹介しましたが、実践するとなると、なかなか外食だけでは難しいこともあるかもしれません。
皆さんは普段から自炊はされますか?
実は、自炊も認知症を予防する上で非常に重要です。
では、なぜ重要なのかを見ていきましょう。
①全てを自分で調整できる
まず、第一に自炊をすると「材料や味付けなど、全てを自分で調整することができる」というメリットがあります。
外食は、塩分や糖質、脂質などが多い傾向にあります。
その味付けを「薄目で」などと調整することは、なかなか難しいですよね。
しかも「量が多い」なんてことはありませんか?
私は『食べ物をあまり残したくない!』というポリシー(貧乏性)があるので、多すぎるおかずや、漫画のように盛られたご飯を出されても、頑張って食べてしまうときもあります。
自分で自炊する場合は、使う材料から味付けの濃さ、さらには量や焼く・蒸すといった調理方法に至るまで、自分で自由に調整できるというのは大きなメリットですね。
②料理を作るという行為が認知機能を鍛える
第二のメリットは、そもそも料理をするという行為自体が、認知機能を鍛えることが出来ると考えられているからです。
料理を作るという作業は、
- 献立を考える
- 必要な材料を記憶する、あるいはメモを取って買い物に行く
- 材料を揃える
- 段取りを考えて、調理をする(しかも、複数の作業を同時進行で行う)
- 味覚を活かして味をととのえる
- おいしく見えるように盛り付ける
などいろいろなことを考えながら行っています。
このような、目的を立てて、その目的を実現させるために段取りを立て、順序良く行動をするということを「遂行機能」といい、この機能を鍛えることが認知機能を鍛えることに繋がります。
また、包丁を使って野菜や果物の皮をむいたり、材料を刻んだり、こねたり、指先でちぎったりと、料理をする工程では手先をたくさん使います。
この行為も、認知機能を鍛えることに繋がります。
他にも、完成品が目に見えるため達成感を感じやすいという点や、おいしく食べることで楽しみが増えるというのもメリットですね。
③役割ができる
そしてもうひとつ、大きなメリットとして、「役割」ができるという点があります。
手が震えて包丁を持ってもらうのが怖い、物忘れが多くなってきて調理が不安、などの理由で「お料理は、私がやるからもういいよ」と台所から遠ざけてしまうとどうでしょう。
いままでずっとやってきたことを「できない」と否定され、役割を失ってしまい、自信を失いかねません。
たとえば、豆のすじを取って欲しい、ミニトマトのヘタを取って欲しいなど、包丁や火を使わないような簡単な作業でもかまわないので、「役割」をもち、それを「達成する」ということで、自信を持つことが出来ます。
自信を持つと、日々の生活に張り合いができ、その人を活き活きさせることが出来ます。
このように、料理を作ることは認知機能にいい働きを及ぼすと考えられており、既に、脳の前頭前野の働きを活性化するということも明らかになっています。
是非皆さんも、このコラムをきっかけに自炊を増やしていただき、家族で一緒にお料理をして、認知機能を鍛えてくださるとうれしいです!
執筆:認定NPO法人 健康ラボステーション 管理栄養士 樋口 遥香
大手前栄養学院専門学校卒業後、2016年4月に認定NPO法人健康ラボステーションへ入社。管理栄養士・介護食コーディネーターの資格を所持。 |