介護老人保健施設ベルアモール~南大阪における認知症ケアの拠点に~
「介護老人保健施設ベルアモール」(堺市中区)は、急性期の高度医療を担うベルランド総合病院などグループの関連施設も多く、南大阪で認知症ケアの拠点を目指して安心の介護サービスを提供しています。介護課主任の勝綾央(かつ・あやお)さんと看護課主任の西尾裕子(にしお・ひろこ)さんに施設の特色や取り組みを聞きました。
勝さんの思い出深いエピソードとあなたの役割を教えてください。
就職して間もない頃、ようやく馴染みの関係が築けた利用者さんの死を目の当たりにし衝撃を受け落ち込んでしまいました。しかし、学ばせて頂いているという先輩方の言葉に救われ「その人らしく生きるために尽くす」という視点を得て、この仕事のやりがいに向き合えるようになりました。
現在は、認知症専門棟を担当し、チームケアで利用者さん1人ひとりが「アモールに来てよかった」と思える場所を提供できるよう尽力しています。また、認知症介護指導者という役割もあり、認知症介護実践リーダー研修を受けた職員で構成された認知症ケア向上チームを立ち上げ、施設全体の質の向上のために何が必要かを模索しながら活動を行っています。
どのようなことを心掛けていますか。
利用者さんと関わる時は、「相手の立場になって考える」ことを、入職当初から16年経った今でもぶれずに持ち続けています。また、認知症ケアは終わりなきケアと考えており、利用者さんの環境だけでなく職員の精神的不安も整える必要があり、職員のストレスや気持ちをほぐし、ポジティブな空気に変え風通しのいい場所になるよう心掛けています。
これから、どのような課題に取り組みますか。
認知症の人はこれからますます増えます。「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に達するとされる2025年問題もあります。施設での対応力には限界があり、地域社会で認知症の理解が広がることを願っています。認知症になっても地域で当たり前に過ごせる社会になるように、私たちももっと地域社会に出向いていきたいと思います。
西尾さんのお仕事を教えてください。
看護師として、認知症フロアを担当しています。利用者さんの背景を知ることを大切にしています。今は認知症でもその人がどんな土地柄でどんな仕事をして、どんな人生を積み重ねてきたのかを知ることからわかることがたくさんあります。今の記憶はあいまいでも、現役だった頃の記憶を保っていることが多いです。例えば大工として働いていた人に「棟梁」と呼びかけると、うれしそうな反応があるように生き生きしていた時代の記憶は、はっきりしています。ここで生活する中でも、人として尊重され過して頂けるよう努力しています。
この施設の特色をお話しください。
多職種の職員の間の風通しはよく、連携がうまくいっています。組織の垣根を超えたリーダー会があり、介護、看護、相談課、リハビリの職員たちが職域を超えて、ケアの質の向上に取り組んでいます。施設を紹介するDVDづくりやベルアモール独自の嚥下体操や歌の創作にも取り組みました。チームワークがいいので、働きやすいと思います。
おれんじねっとを通じて、伝えたいことをお願いします。
グループの病院には地域包括ケア病棟もあり、訪問介護もあり、さまざまな認知症ケアや介護サービスに取り組んでいます。医療が必要になる最期の看取りの場面でも、グループの連携の力が発揮できます。南大阪エリアで、利用者さんも、ご家族も、安心して使っていただける介護サービスに力を注いでいきたいと考えています。
ベルアモールが目指す今後の在り方について、事務長の武市和典(たけいち・かずのり)さんに聞きました。
リハビリテーションを担当する職員の人数も多く、認知症予防には特に力を入れています。認知症の問題に直面したとき、ベルアモールに相談すれば、何とかしてくれると信頼される施設でありたいと願います。認知症カフェなど地域社会に開かれた相談窓口を設けています。医師も4人いるので、認知症も、看取りも、リハビリも、老健としてできる役割を担いたい。これからも、地域社会に必要とされる認知症ケアの拠点を目指していきます。
施設紹介
社会医療法人生長会 介護老人保健施設ベルアモール
所在地:堺市中区深井畑山町211
電話:072-277-7711
入所定員:157人(認知症専門棟あり)
通所定員:120人
執筆:おれんじねっと記者 中尾卓司
1966年4月、兵庫県丹波篠山市生まれ。 |