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介護老人保健施設いずみの郷~緑と水辺の環境とアットホームな雰囲気に恵まれて

2020年12月28日

いずみの郷は、大阪府内唯一の医師会立の介護老人保健施設です。広い窓ガラスからは緑と池に面した自然の眺望を楽しめて、堺市からかつて「堺市景観賞」を受けたこともあります。職員らもアットホームな雰囲気に包まれ、介護主任の杉本亮太(すぎもと・りょうた)さんは「職種を越えてフランクに話し合えるムードがあります」と説明していました。

施設の特色を教えてください。

笑顔が絶えず、和気あいあいと話せる雰囲気があり、働きやすい職場です。管理職の人にもあまり気兼ねすることなく、何でも相談できます。
利用者さん本位に考える雰囲気があり、タブレットの活用など新しいことにも取り組めていると思います。
介護職員、看護師、理学療法士など多職種の職員が頻繁に集まって、おひとりおひとりの利用者さんの状態やケアについて詳しく情報交換し、緊密に連携しています。

杉本さんの仕事と役割をお話しください。

平成12年4月に開設された当初から、この施設で働いています。入所で3年間、通所で16年間を担当しました。今は、入所の介護主任として、職員をまとめる役割を任されています。
今年は、新型コロナウイルス対策のために、ご家族との面会が制限されています。インターネットやタブレットを活用したテレビ面会にも取り組み、ご家族が洗濯物を取りに来られる際には、いつも以上に利用者さんの生活ぶりの変化を丁寧に説明しています。
介護の現場では、利用者さんと職員が接近することが少なくありません。マスク着用や利用者さんとの距離の取り方、「ソーシャルディスタンス」には特に気を配っています。

利用者とのエピソードを教えてください。

毎年の夏祭りには、ご家族や地域の方、ボランティアの方を招待して盛大に開いていました。屋台や盆踊りがあり、花火も打ち上げる最大の年間行事は多くの人に喜んでいただき、職員もやりがいを感じる場でした。今年は、大勢が集まるイベントはできない分、縁日を開いておひとりおひとりの写真を撮影してプレゼントするなど利用者さんに少しでも満足していただけるように工夫を重ねました。
理学療法士やケアマネジャーが可能な限り、ご自宅を訪問して生活ぶりを把握しています。在宅復帰には、ご家族の理解と支えがとても大切です。利用者さんだけに目を向けるのではなく、ご家族ともしっかりコミュニケーションを取るように心がけています。

今後、どのような取り組みを目指されますか。

入所されている方の最年長者は、100歳になりました。40代の方を受け入れる予定もあり、入所者の年齢層の幅はますます広がります。スマホやインターネットを使うには、ネット環境も必要でしょう。年代に応じたサービスの幅が充実するように、個別のニーズに対応したいと考えています。
職員全員が相互の連絡のために、インカム(内線通信機器)を装着しています。利用者さんの体調の変化、業務の指示や緊急時の応援要請等、多くの情報をリアルタイムに職員全体で共有する事で、利用者さんへのサービス向上や業務効率化に大きく役立っています。新人職員もインカムを装着し情報共有する事で、孤立せず、業務を覚えやすい環境を構築しています。現在ではチームとしての業務には、無くてはならないツールとなっています 。

おれんじねっとを通じて、伝えたいことをお願いします。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、利用者さんも、ご家族も、満足できない日々が続いています。施設としても、ウィズ・コロナの新しい生活様式に適応したい。面会が制限されているご家族のために、タブレットで利用者さんの動画を撮って生活ぶりをお伝えするなどICT(情報通信技術)も積極的に活用して、新しい老健の姿を提案したいと願っています。

施設長で医師の丸毛俊明(まるも・としあき)さんは、今後の方向性に向けて、説明されていました。


堺市医師会という公的な組織に支えられた介護老人保健施設です。職員にとっては、安心して笑顔で働ける環境にあり、職員の自主性が尊重されるムードがあります。職員は、利用者さんの立場を第一に考えて、介護とリハビリの両面に力を注いでいます。病院と自宅をつなぐ老健施設の役割について、地域社会の理解が広がるように情報発信にも力を注ぎたいと思います。

施設紹介


一般社団法人堺市医師会 介護老人保健施設いずみの郷
所在地:堺市南区竹城台1丁8番2号
電話番号:072-290-2277
入所定員:80人
通所定員:40人

執筆:おれんじねっと記者  中尾卓司

1966年4月、兵庫県丹波篠山市生まれ。
1990年4月、毎日新聞入社。大阪社会部、外信部、ウィーン支局、社会部編集委員を経て、2020年3月、毎日新聞を早期退職。記者一筋に30年の経験を生かして、おれんじねっとの取材チームに加わり、記者活動を展開中。「つなぐ、つながる、つなげる」を掲げて新しい情報発信のかたちを提案している。
大阪大学箕面キャンパス「現代ジャーナリズム論」非常勤講師
関西大学社会学部「ジャーナリズム論」「時事問題研究2」非常勤講師

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