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9月は「世界アルツハイマー月間」:ロバ隊長のモビールは認知症の「支援の輪」 阿倍野区に広がる

2021年9月13日

9月は、「世界アルツハイマー月間」です。
大阪市阿倍野区では、「阿倍野区アルツハイマーデープロジェクト」として、認知症ケアを啓発しようと、介護事業所などの入口や壁に、オレンジ色の手作りリングとロバ隊長のモビールをつりさげる取り組みが広がっています。

阿倍野区認知症強化型地域包括支援センターと、あべのオレンジチームが中心となって行っているこの取り組みは今年で、5年目を迎えています。

阿倍野区認知症強化型地域包括支援センターと、あべのオレンジチームは、認知症に対する理解を広げる啓発に向けて「何かできることを探ろう」と5年前、この取り組みを始めました。「姫路城を照らす」といったライトアップの啓発活動を知り、自分たちはもっと身近で手軽に始められる試みを工夫しよう、というアイデアが発端でした。

手作りモビールで認知症の理解を広げ、現場を支える

オレンジリングは認知症ケアのシンボルであり、ロバ隊長は「認知症サポーターキャラバン」のマスコットです。ロバ隊長は認知症サポーターのキャラバンを率いて、「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」をめざす道のりの先頭を歩きます。ロバのようにゆっくり急がずに、キャラバンは一歩一歩を着実に進みます。

世界アルツハイマーデーは1994年9月21日、英国スコットランドで開かれたアルツハイマー病協会の国際会議を記念して定められました。アルツハイマー病や認知症に対する理解を深めようという願いが込められています。アルツハイマーデー(9月21日)に合わせて、9月は「世界アルツハイマー月間」として、さまざまな啓発活動が展開されます。

阿倍野区でロバ隊長のモビールとポスターを掲示する活動は昨年、病院・診療所、歯科医院、薬局、介護事業所のほか、区内の15郵便局や公共施設など159カ所に広がりました。今年はさらに、金融機関、企業団体などにも拡大しつつあります。


▲阿倍野区役所

介護事業所の利用者や小学生らも、ロバ隊長のモビール用のリングを手づくりする作業に加わっています。「手作り風景の写真を撮って」という呼びかけも広がり、モビールとポスターの掲示風景をホームページで紹介するなど活動は広がりを見せています。

ロバ隊長のモビールを掲示する取り組みは、認知症に対する理解を広げる周知啓発、顔の見える関係を築く手段として定着しています。この取り組みに加わることで「認知症でも安心して暮らせるまちづくり」に参加する意識も根付きつつあります。

5年目となって「今年もロバ隊長の時期になりましたね」と声が掛かるようになりました。「世界アルツハイマー月間」の9月だけに限定せず、長期にわたってロバ隊長の掲示を続ける事業所も現れています。

この取り組みが広がることで、地域包括支援センターやオレンジチームが認知症にかかわる相談窓口として知られるようになり、相談も増えています。「阿倍野区でできることを」と始まった動きがきっかけになって、認知症の当事者を参加型で支える雰囲気が広がりつつあります。

あべのオレンジチームの担当者は「ロバ隊長のモビールをつるして認知症の理解を広げる取り組みに参加してください」。
「認知症の方、本人家族を応援しましょう」
「認知症に関する心配ごとがあれば、気軽に相談してください」
と呼び掛けています。

社会福祉法人 大阪市阿倍野区社会福祉協議会


大阪市阿倍野区帝塚山1-3-8
阿倍野区認知症強化型地域包括支援センター:TEL.06-6628-1400
あべのオレンジチーム:TEL.06-6628-1300

執筆:おれんじねっと記者  中尾卓司

1966年4月、兵庫県丹波篠山市生まれ。
1990年4月、毎日新聞入社。大阪社会部、外信部、ウィーン支局、社会部編集委員を経て、2020年3月、毎日新聞を早期退職。記者一筋に30年の経験を生かして、おれんじねっとの取材チームに加わり、記者活動を展開中。「つなぐ、つながる、つなげる」を掲げて新しい情報発信のかたちを提案している。
大阪大学箕面キャンパス「現代ジャーナリズム論」非常勤講師
関西大学社会学部「ジャーナリズム論」「時事問題研究2」非常勤講師

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