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「人生をカッコよく」認知症の予防を MCIリングの提案

2021年7月5日

一般社団法人MCIリングは、認知症とフレイル(加齢による心身のおとろえ)の予防に取り組んでいます。「人生をカッコよく」(元気、頭がさえる、生きがい)を合言葉に、脳トレなど楽しい連続プログラムの実践を提案しています。MCIリング代表理事の朝田隆(あさだ・たかし)さんは「高齢者のやる気を促すことも、褒めることも大切にしたい」と訴えています。

MCI リングを設立されたきっかけをお話しください。

人は「褒めない」と変化も上達もありません。楽しみながら脳を刺激することに効果的なカラオケも、コロナ禍の自粛で行けなくなりました。コロナ禍で、国が奨励する「通いの場」というキーワードの活動も難しくなりました。

「軽度認知障害(MCI)」とは、認知症予備軍といえる状態です。いつまでも健康でありたいものですが、加齢とともに身体や認知の機能は衰えます。人生の後半戦において、社会、心理、身体の三つの側面から、楽しみながら脳や身体の機能を刺激して継続できるプログラムを提供しています。リングには「連続体」という意味を込めています。

特殊な組織が特別なサービスを提供するのではなく、誰でも参加できる市民向けイベントで日常的に取り組めるプログラムを用意しています。

「人生をカッコよく」という合言葉を掲げたのには、どんな背景がありますか。

介護予防のプログラムはどんな状態を目指すのか、わかりやすいメッセージが必要でした。有名な「マツケンサンバ」の振り付けを担当している振付師の真島茂樹(まじま・しげき)さんと対談する機会がありました。真島さんから「もっとわかりやすい言葉にしましょう」と提案されました。それが「人生をカッコよく」です。「健康の状態がいい。頭がさえている。生きがいがある」。三つの要素を大切にしようと目標に掲げています。

MCIリングがサービスの対象とされるのは、どういった人たちですか。

私が院長を務めるメモリークリニックお茶の水は、「軽度認知障害(MCI)」と認知症、認知症予防を専門としたクリニックです。「物忘れ外来」もあり、毎年、1000人ほどの新患を診ています。認知症予備軍といえるMCIの人は、もの忘れがあっても、大方のことはできる人です。数%の人が認知症に進むといわれます。

新型コロナ感染拡大を受けて「認知症の症状がひどくなった。何かできる対策はないですか」といった相談も増えました。そうした相談に対して、MCIリングが開発したプログラムを紹介することもあります。

MCI リングの活動やこれまでの実績をお話しください。

「MCIリング」の名称が示すとおり、楽しみながら続けられるプログラムの連続体を目指しています。

脳トレや音楽、運動のプログラムを広げようと、番組を収録できる放送局のような仕組みを構築しました。脳トレや運動を収録した30分間の番組をたくさんつくりました。ストレッチやバランスなどの運動、簡単な太鼓、歌唱、音楽クイズなど音楽、アート・美術、熱中症予防など健康に関するレクチャー……と多彩な内容を用意しました。ウェブサイト経由で発信し、30分間の番組を週4回のペースで続けています。1年間余りで約300本の番組の蓄積ができました。
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言と外出自粛に重なったので注目されました。コロナ禍でイベントを開けない地方自治体からも問い合わせを受けました。

MCI リングの活動を今後、どのように展開しますか。

MCIリングの介護予防プログラムは、一定の効果があることはわかっています。これから、どう裾野を広げていくのか、大衆化がこれからの課題になります。

各地のケーブルテレビは自治体と連携しています。ケーブルテレビは、高齢者世帯の普及率も高いので、連携すれば健康啓発の番組を放送することもできるでしょう。

ITリテラシーを上げることは簡単でありません。自治体や企業と連携して、時間はかかっても根気強く、挑戦を続けたいと思います。

(つづく)

軽度認知障害(MCI) Mild Cognitive Impairmentの略。正常な状態と認知症になる中間の「認知症の一歩手前」の状態、認知症予備軍の段階を意味する。軽度認知障害を持つと半数の人が数年以内に認知症になるといわれる。もの忘れが激しい、やる気がでない、など少しずつ日常の生活に支障をきたす。早期に専門的な治療を受けると、認知症への移行・進行を抑えることができる。

一般社団法人 MCIリング

介護予防プログラムの推進を目指して設立された産学共同のネットワーク組織。総合的な介護予防のプログラムの浸透を図る。身体や認知の機能が低下している高齢者も〝人生をカッコよく〟生きていける状態を保つことを支援する。

所在地:東京都文京区湯島1-5-34 お茶の水医学会館 4階
設 立:2020年1月

朝田隆(あさだ・たかし)

東京医科歯科大学卒業、精神科医、一般社団法人MCIリング代表理事、筑波大学名誉教授、東京医科歯科大学客員教授、医療法人社団創知会理事長、メモリークリニックお茶の水院長。

執筆:おれんじねっと記者  中尾 卓司

 

 

 

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