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認知症予防に注目の「コグニサイズ」とは

2020年3月2日

高齢化社会から超高齢化社会へと移り変わりゆく日本で、高齢者を支援するサービスは増えてきました。
しかし、優良なサービスや支援方法においても「情報が届かない」ことには意味を成しません。
最近の国からの報告によれば、65歳以上の高齢者における認知症の頻度(有病率)は約15%です。特に大阪府では認知症が原因による行方不明者の増加や、孤独死という件数が全国で比べてもワーストランキングで上位を占めています。
認知症の方をサポートする一方で、年々増えていく高齢者の「認知症を予防する」という点においても重要視されており、今回はその方法の一つである「コグニサイズ」について、ご説明します。

「コグニサイズ」とは

コグニション(cognition : 認知)とエクササイズ(exercise : 運動)を組み合わせた造語で、2つの課題を同時に行うことで、脳とからだの機能を効果的に向上させることを目的としています。
ここで勘違いされがちなのが、「脳トレ」です。
とあるデイケアの現場で取り組まれ、紹介されていたような「じゃんけんで負ける手を出す」「椅子に座って集団クイズや計算に取り組む」などは、脳トレに分類されます。
座ってじっくりと頭を使い、身体の一部を動かしながら課題に取り組むのではなく、全身を動かす運動と頭で考える課題が組み合わさっていることがコグニサイズです。
その課題に関しても、かんたんに達成できてしまうものではいけません。

今回は「コグニステップ」というコグニサイズをご紹介します。

「コグニステップ」の楽しみ方

1. 両足で立ち、リズムよく1から順番に数字を数え、3の倍数では手をたたきます。
2. リズムに合わせて①右足を右に ②右足を戻す ③左足を左に ④左足を戻す というステップを行います。

これを同時に行うことで、全身運動と認知が成立します。
3の倍数は、九九の範囲であれば簡単かも知れませんが、それを超えると難しくなります。
しかし、実は「全ての位の数字を足す」ことで簡単に3の倍数は導き出せるのです。
例)72 → 7+2=9 → 9は3の倍数なので、72は3の倍数!

しかし、これに簡単ではありますが、ステップが付いてきます。
これが程よい難易度となり、全身運動と脳トレがより高い認知症予防への効果を発揮してくれるのです。

また、これを集団で行うことがより効果を発揮してくれます。
間違えれば互いに励まし合い、笑いが起こり、上手くできれば達成感が生まれます。
中には、ずば抜けてできる人が出てきます。その人は、注目されることで高揚感を得られ、自信がつくことでしょう。
そういった刺激は、脳を活性化させ、認知症の予防に大きく繋がります。

また、コグニサイズを実施する上で注意してもらいたいのは「決して無理をしないこと」です。
上記でご紹介したコグニステップにおいても、本当にゆっくりのリズムから初めてください。全身運動を伴うため、些細なことで大きな怪我につながってしまう可能性は常について回ります。
そして、ストレッチを行ってから開始すること、定期的に休息を取ることも重要です。休息時はしっかりと水分補給をして、脱水症状にもしっかり配慮しておきましょう。

1日に多くの時間を取り組むよりは、短い時間でも毎日取り組むというような、継続的に実施するほうが大きな効果が得られます。
その上で、慣れてくれば次の課題を準備するようにしておきましょう。

認知症に密接している問題として、アルツハイマー病があります。こちらも、身体的不活動を改善すること、日常生活の中でバランス良く取り組んでいくことで予防ができると言われています。
そのためにも、脳を鍛えることだけではなく、全身運動を付与するコグニサイズは、今以上に重要視されてきます。

この様に、ルールさえ覚えれば誰でも実施できるような認知症予防の方法は多くあります。しかし、こういった情報が現場まで届いていない、実際に取り組む高齢者の方へ届いていない情報は溢れています。
ネットを通じて、直接高齢者へ届けるのは難しいと言われています。しかし、高齢者たちを取り巻く環境、施設、家族に対して情報を発信、得やすい環境づくりこそが、現在の高齢化社会とこれからの超高齢化社会を支えていくことになるでしょう。

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