【症状への具体的な対応策を深掘り】Q. もの盗られ妄想(「財布を盗られた!」など)には、どう対応すればいいですか?

Q:私の家族にはまだないのですが、良い対応の仕方というのはありますか?実際に起きると、感情的になって、けんかしてしまいそうです
そうですね。家族から「盗られた!」と疑われるのは辛いですよね。
もの盗られ妄想などの場合には、妄想する本人の背景にある不安や戸惑いを理解するのが一番です。認知症があると誰しも多かれ少なかれ不安感や被害感情を持つようになってしまいます。もの盗られ妄想では、その不安感や被害感情のために、大切なものをきちんとしまっておこうと考えます。見つかりにくい所へしまってしまうのはそのためです。
「盗まれた」と考えるのは、認知症で記憶があいまいになっているために、しまい込んだことを忘れ、見つからなくなってしまうから。本人にとってはあるはずのものがないので戸惑い、「盗まれた」と考えざるをえなくなってしまうのです。
そうなんですね
しばしば近くにいる家族を「あなたが盗んだんでしょ」と責めてしまうこともありますが、否定すると言い合いになり解決しないので、冷静に対処するようにしましょう。
なるほど~
まず、大切なものがなくなった本人の不安や戸惑いを受け止めることだけを考えて、話を聞くようにしてください。
「私は盗っていない」など否定するのは禁物です。いくら否定しても、本人の「盗まれた」という思い込みは変わりません。本人の主張を受け止めて、気持ちを落ち着かせます。それから、なくなったものを一緒に探すのです。見つかれば、解決します。
参考:「家族のための認知症ケア」繁田雅弘著 NHK出版