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老人性難聴のメカニズムの解明

2020年3月2日

順天堂大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学の神谷和作准教授、田島勝利大学院生らの研究チームは、老人性難聴の初期に起こる新たなメカニズムを明らかにしました。研究チームが内耳の「ギャップ結合」という分子の複合体に注目して解析したところ、この分子が老化に伴って崩壊・減少し、老人性難聴の進行に関与する可能性が示されました。このメカニズムの解明により、当研究チームが現在開発中の内耳ギャップ結合を標的とした薬剤や遺伝子治療が老人性難聴にも適用できる可能性があります。本研究はネイチャー系列誌「Experimental & Molecular Medicine」にも掲載されました。

なぜ認知症予防に効果があるのか?

老化に伴う老人性(加齢性難聴)は進行的な聴力障害で、場合によっては40代で補聴器を必要になる例も少なくありません。最近では、認知症の発症リスクを高める最も大きな要因に中年期以降の聴力低下(老人性難聴)が含まれるとのデータが報告され、老人性難聴への早期予防が認知症予防の最重要項目の一つであると考えられています。

この研究でわかったこと

これまでは、老人性難聴は内耳の有毛細胞と呼ばれる感覚細胞の脱落が主な原因という説がありましたが、老人性難聴の初期には有毛細胞はまだ正常に存在していました。老化に伴って内耳の「ギャップ結合」という構造体が疎水化・断片化し、タンパク質量が低下しているというあらたなメカニズムを解明しました。

今後、どのようにこの発見が活かされるか?

研究チームは内耳のギャップ結合を修復するための医薬品や遺伝子治療ベクターの開発を進めています。現在、老人性難聴の根本的治療法や治療薬はありません。ですが、将来的には、研究チームが開発中のギャップ結合タンパク質を安定化する薬剤やコネキシン(ギャップ結合の構成成分)を補充する遺伝子治療の開発によって老人性難聴の予防や聴力の回復が期待されます。ギャップ結合の異常は遺伝性難聴の原因と共通しており、同じ治療法が適用できる可能性から示されています。同チームは実際に遺伝性難聴の2015年ギャップ結合を修復し、聴力を回復しています。

(画像はイメージです)

▼外部リンク
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000152.000021495.html

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