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【健ラボ通信 Vol2】「食」の楽しみ提案 健康づくりをアドバイス 管理栄養士

2021年8月4日

健康測定会に取り組む認定特定非営利活動法人・健康ラボステーションには、管理栄養士の資格を持つ職員が6人もいます。管理栄養士の強みは? 役割は? やりがいは? そして「おれんじねっと」で連載中のかんたんレシピには、どんな工夫を凝らしているのでしょうか? 管理栄養士の仕事に迫りました。

企業の社員向けの測定会やオンラインセミナーを担当する山下桃花(やました・ももか)さんは「コロナ太りに気をつけましょう」と話しています。

管理栄養士は国家資格です。大学や専門学校で4年間、栄養や健康の専門知識を学んだ後、国家試験に合格すると管理栄養士の資格を取得できます。疾病のある方や高齢で食事を取りにくい方に、栄養バランスの整った食事や生活をアドバイスする仕事です。

社員向け測定会や新型コロナウイルス感染拡大で始めたオンラインセミナーを担当しています。小学校の高学年向けに「将来の夢」を考えるオンラインセミナーでは、管理栄養士の仕事について紹介しました。「好き嫌いはないですか」、「給食のメニューを考えているのは管理栄養士ですよ」と話し掛けると、子どもたちは身近に感じて興味を持ってくれました。

友人に会えない、祖父母や家族に会えないと、ストレスをため込む人もいるのでメンタル面のサポートも大切です。オンラインセミナーのよさは自宅から気軽に参加できることです。「コロナ太りに気をつけましょう」、「運動しましょう」と呼び掛けたり、「食べ過ぎていないですか」と問い掛けたりしています。

インスタグラム、LINE、フェイスブックといったSNSの活用を増やし、メールマガジンも定期的に発信しています。

健康セミナーを担当する中村文香(なかむら・ふみか)さんは「セミナーは、健康意識が高まる場です」と説明しています。

うめきたで健康セミナーを2カ月に1回開いています。コロナ禍なのでオンライン参加も可能にして、どなたでも参加できます。健康ラボステーションのSNSやメルマガに登録している方に、セミナーの情報を発信しています。

「ここに来たら、健康意識が高まるんよ」と言ってくださることがうれしいです。外出する機会を求めて、セミナーに参加される方もいます。8月のテーマは「正しい水分補給」です。

私は日頃、散歩やテニスを楽しんでいます。食べることが好きなので食べたら動くことを心掛けます。運動と食事をバランスよく、コロナ禍だからこそ、体を動かすことが大切です。

一人でやる運動よりも、誰かと一緒にやるスポーツのほうが長続きするようです。テニスは「長寿スポーツ」と呼ばれています。テニスはソーシャルディスタンスを保ちながら、仲間と一緒の時間を楽しめるからです。

スポーツに限らず、ごみ拾いなどボランティア活動も含めて、積極的に社会参加している人が長生きにつながるようです。複数の活動に参加することがいいとも、いわれています。

管理栄養士の役割について、沖さやか(おき・さやか)さんは「最も身近な食事内容を聞き取るので相手の懐に入り込めます」と紹介していました。


食事は誰にとっても身近なものなので、食事の話からいろんなお話を伺うことができます。それが管理栄養士の強みです。

まずは、おいしく食べていただくことから。食事を減らすのではなく、食事の質を変えることを目指し、長続きできるアドバイスを大切にします。

ラーメンが好きで週5回、ラーメンを食べに行くという働き盛りの方はブログに「行列に並んでラーメンを食べてきました」と発信していました。その人には「ラーメンの回数を減らさないと、やりたいこともできなくなりますよ」とお伝えしました。ブログ好きを逆手にとって「こんなアドバイスを管理栄養士から受けました」と載せてもらいました。

今は、コロナ禍で体調面に対する影響を心配しています。話し相手がいないと、疲労が蓄積されます。疲労が蓄積されると、免疫力も落ちます。対面の測定会でも、オンライン相談でも、お話をしっかり受け止められる相談相手でありたいと願っています。

毎月1回、うめきたの健康科学イノベーションセンターであった健康測定会はとても好評でしたが、コロナ禍で昨年春から中断したままです。なるべく早く、健康測定会が再開できることを期待しています。

健康レシピを担当している竹本舞花(たけもと・まいか)さんは「ユーチューブで動画配信を始めました」とアピールしていました。

脳にいい食材や、普段よく使う食材を使って健康にいいレシピを提案します。おいしく食べられるオリジナルのレシピを工夫し、簡単に調理できることを大切にしています。

おれんじねっとに来月公開するレシピは「タコとアボカドの和風カルパッチョ」です。

タコやアボカドという旬の食材を使っています。アボカドに含まれるビタミンEは油に溶ける性質があり、オリーブオイルがビタミンEの吸収を促進します。また、シソを入れて塩分を控えめにしました。調味料に味噌を使って洋風のカルパッチョに和風のテイストを加えたところもポイントです。

健康ラボステーションではSNSも活用しており、最近はユーチューブチャンネルに、レシピ動画を公開しました。

火を使わず、電子レンジだけで調理できるレシピです。最近公開したのは「レンジで和風あんかけ丼」と「野菜たっぷり具だくさんスープ」の2種類です。

料理する機会が少ない人も気軽に調理できる野菜たっぷりメニューを考案しました。メニューづくりにも、撮影にも、編集にも、時間がかかり、試行錯誤を重ねました。多くの人に「面白い」「私もつくろう」と注目してもらえるようにチャレンジを続けます。

かんたんレシピを担当している大原奈緒(おおはら・なお)さんは、次回公開予定のレシピを予告しています。

おれんじねっとに8月、「簡単!ほうれん草とバナナのマフィン」のレシピを公開します。包丁を使わず、簡単に調理できるレシピです。

ほうれん草を電子レンジで加熱して、はさみで切って、バナナをフォークでつぶします。電子レンジで材料を加熱すると、表面に穴がたくさんできました。水分が多いことや、空気を抜け切れていないことが原因だと考えて、何度も試作を繰り返しました。最終的には、蒸し器を用いることで課題を解決できました。材料はバナナとほうれん草、ホットケーキミックス、牛乳。砂糖を使わずに、しっかり甘みのある味に仕上がりました。

レシピのとりまとめ役の樋口遥香(ひぐち・はるか)さんは「会員限定で発行したオリジナルレシピ集が好評を得ています」と語っています。

昨年秋、会員向けに春夏秋冬の四季をテーマに、旬の食材を生かしたレシピをまとめました。今後も、新しいレシピ集を編集する予定です。

健康ラボステーションのレシピは、季節感と旬の食材を大切にしています。また、塩分ひかえめの減塩を基準にした健康レシピとなっています。対面の計測会が再開される際には、レシピをお配りすることもあります。

今後は、対面の計測会でも、オンラインセミナーでも、栄養相談を増やしたいと考えています。

◇  ◇

健康ラボステーションの活動を紹介するシリーズ「健ラボ通信」。

前回のテーマは「楽しみながら病気の予防を」

次回のテーマは「薬剤師の仕事」です。

組織案内

認定特定非営利活動法人 健康ラボステーション
所 在 地:大阪市北区天満橋1-8-30  OAPタワー10階1005号
電話番号:06-6948-8015

執筆:おれんじねっと記者  中尾卓司

1966年4月、兵庫県丹波篠山市生まれ。
1990年4月、毎日新聞入社。大阪社会部、外信部、ウィーン支局、社会部編集委員を経て、2020年3月、毎日新聞を早期退職。記者一筋に30年の経験を生かして、おれんじねっとの取材チームに加わり、記者活動を展開中。「つなぐ、つながる、つなげる」を掲げて新しい情報発信のかたちを提案している。
大阪大学箕面キャンパス「現代ジャーナリズム論」非常勤講師
関西大学社会学部「ジャーナリズム論」「時事問題研究2」非常勤講師

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