「老老介護」「認認介護」とは?知らないと共倒れのリスクも
今、日本では超高齢化に伴い「介護」が社会問題となっています。その中でも深刻なのが「老老介護」「認認介護」で、ニュースになるような事件も起きています。
と言っても、
・「老老介護」「認認介護」って何?
・うちの両親には関係ないだろうな
と思う人も多いのではないのでしょうか。
この記事では、「老老介護」「認認介護」の」詳しい解説とリスク、対策について解説していきます。
「老老介護」「認認介護」とは?
▼老老介護
- 65歳以上の高齢者が、高齢者を介護している状況。
- 高齢の夫婦だけでなく、兄弟姉妹、超高齢の親を高齢になった子や子の配偶者が介護するなどさまざまなケースがある。
▼認認介護
- 認知症の高齢者が、認知症の高齢者を介護している状況。
- 老老介護の増加に伴い、介護される側だけでなく、介護している側も認知症を発症し、介護がままならなくなる。
「老老介護」「認認介護」増加の現実
老老介護が介護世帯の約60%を占める
要介護者がいる世帯のうち、65歳以上のみの世帯が半数を占めるようになったのが2013年。2019年にはおよそ60%が高齢者のみの世帯になっており、老老介護世帯が増加しています。全人口に対して65歳以上の人が21%以上を占める「超高齢社会」に突入して10年以上経つ現在、介護する側にも高齢化の波が押し寄せており、この状況はますます深刻化していきます。
認認介護も約10%の高齢夫婦が抱える問題に
介護者も要介護者も認知症という状況は、大きな事故が起きやすい状況です。そもそも、要介護になる原因の第1位が認知症であること、要介護でなくても高齢者の約7人に1人が認知症であるというデータをふまえると、介護期間が長くなるにつれ元気だった介護者も認知症になる確率が高まるのが分かります。
2010年に山口県で行われた大規模調査では在宅介護世帯のうち、認認介護である確率は10.4%という値が出ており、認認介護は決して珍しくはなくなっています。
参考:在宅介護における認認介護の出現率 組合員2万人及び介護事業所507ヶ所調査結果
参考:認知症施策の総合的な推進について (参考資料) 令和元年6月20日 厚生労働省老健局
「老老介護」「認認介護」のリスクとは?
「老老介護」「認認介護」それぞれが持つ特徴とリスクを見ていきましょう。
老老介護だと共倒れ、社会の接点が減少
▼共倒れ
- 介護負担の増大
- 介護者に療養が必要な状態になった場合、面倒を見る人がいなくなる
▼社会との接点の減少
- 周囲に愚痴を言えずストレス過多になる
- 趣味など自分の時間が持てない
- 介護時間が増え外出できない
認認介護だと服薬・体調等の管理ができない
▼体調管理ができない
- 決まった時間に服薬ができない
- 適切な水分補給や、食事管理ができない
- 体調変化に気づかない
▼金銭管理ができない
- 通帳やキャッシュカードを失くし、必要な出金ができない
- 口座から出金しすぎて、引き落としが利用できなくなる
- 訪問販売や通信販売を繰り返し、生活費が不足する
「老老介護」「認認介護」世帯へ周囲ができる対策は?
近所に老老介護の世帯があったり、自分の親族や家族が老老介護をしたりしている場合、どのような対策が取れるでしょうか。
地域包括支援センターを訪ねよう
介護サービスを使うには、地域の役所で介護保険の申請をして介護サービスの調整をするケアマネジャーを探す必要があります。各地域に「地域包括支援センター」という相談窓口があるので、どんなサービスが受けられるのか相談しに行くといいでしょう。
また、近所の人からの相談も受け付けていますので、「高齢者二人世帯で、奥さんが入院して生活に困っているようだ」等、近所の高齢者の様子がいつもと違うという時には、迷わず相談してみましょう。
本人との会話だけで判断は危険!ご近所と関係構築しよう
子どもがいても別居せざるを得ない場合も多くあります。状況を把握するために、頻繁に帰省したり電話で話したりといった方策を取っている家庭も多いと思います。
ただ、家族間の阿吽の呼吸での会話や、電話での他愛のない会話はうまくいっても、実生活では困難が生じていることも多いものです。例えば、ゴミ出しの曜日や分別を間違っていて実は回収してもらえていなかったり、買い物がままならなかったりといった問題が起きていることもあります。「老老介護」「認認介護」の中で起きている生活の困難や問題を事前に察知するためには、本人との会話や帰省時のやり取りだけで判断するのではなく、近隣のお宅にも訪問し、お世話になっているご挨拶と「最近変わったことがないか?もし変わったことがあれば連絡を欲しい。」と事前に依頼しておくのも一つの手です。
まとめ
「老老介護」「認認介護」は、超高齢社会の長期化に伴い他人事ではなくなっています。しかし、事前にリスクを予想し、地域包括支援センターや近所の人とコミュニケーションを取っておくことで、必要な介護サービスを導入する手助けになったり、変化を察知したりすることができます。
一人で抱え込まずに「まず周囲に相談する」ことをおすすめします。