認知症の初期症状とは?気づくポイントと家族のとるべき対応
認知症の初期症状はどんなことから始まるのでしょう?「最近なんだかおかしいな」「人が変わってしまったようだ」という方はいらっしゃいませんか?そんなことがあったら要注意です。もしも大切な人が認知症になったら、どのように対応すればいいのでしょうか。
認知症とはどんな病気か
認知症はひと昔前に比べて、だいぶ世間で知られるようになっています。認知症になったからすぐに施設に入るということではなく、できるだけ現在の生活機能を維持してなるべく長く、住み慣れた自宅で暮らすことが大切とされています。認知症にも数種類ありますが、半数以上はアルツハイマー型認知症という、脳にアミロイドβというたんぱく質が溜まることが原因で起きる病気です。それでは、認知症の具体的な仕組みや症状について説明していきましょう。
初期症状は
認知症は、早く気づいて適切な治療やケアを受けると、進行を遅らせることが可能です。家族に初期症状が出ていないか、チェックしてみてください。
認知機能障害
脳の働きが低下することで、ダイレクトに起こる障害を認知機能障害と言います。
- 同じことを何度も話す、尋ねる
話の内容が分からなくなったり、すぐに忘れたりしています。ある時間帯の経験がスッポリと抜け落ちるため、自分が言ったことを覚えておらず、また尋ねます。 - 忘れ物や捜し物が増えた
物を置いた場所がわからなくなる、あるいは「置いた」ということ自体を忘れることもあります。 - 料理など、家事をしなくなった
料理は家事の中でも難しいものです。塩を入れたかどうか忘れるというような、記憶の問題だけではなく、例えば4人分の夕食を作るにはどのような段取りで行ったら良いのかがわかりにくくなります。そして、怠けているのではなく、上手くできなくなってきたことを段々行わなくなっていきます。 - 財布に小銭ばかりたまっている
お金の計算が上手くできなくなってくるとお札だけで買い物しています。 - 身だしなみを整えることができなくなった
目は見えているのに、その物が何であるわかりにくくなる「失認」や、手足はちゃんと動くのにうまく行動できない「失行」により服がうまく着られなくなったり階段を降りにくくなったりします。若く発症された方は、もの忘れよりもこちらの症状が目立つ人もいらっしゃいます。
BPSD(行動・心理症状)
環境や周囲の対応などによって現れることがある症状です。症状が起こっている原因が取り除かれると改善する可能性があります。
- ぼんやりして、付き合いが悪くなる
自身の失敗した経験から、これまでしていたことを辞めてしまい、引っ込み事案になる。あるいは周囲の人との関わり自体に関心がなくなることもあります。 - 怒りっぽくなった
できない、分からない自分に混乱し、葛藤しています。不安が強い分、身近な人には怒りっぽくなります。
家族がとるべき対応とは
今まで元気だった家族がいつもと違った様子になると心配になりますが、焦って対応してはいけません。症状が悪くなることもあります。
責めない
自分でも、自信を無くしかけていることを、指摘されて責められると、気分が落ち込むかと思います。ご本人も困っていることを理解し、なぜ、そのような言葉が出るのか、行動がおこるのかを考えてみましょう。
バカにしない
笑ったりバカにしたりすることは、信頼関係を壊し、その後の介護をしにくくなってしまいます。
できることに注目
できなくなったことではなく、できることに注目してみましょう。自信がとりもどせるかもしれません。使わない能力は衰えるので、進行予防の意味でも、どんどんやってみましょう。
不安を受け止める
本人が一番苦しんでいます。身近にいる家族が受け止めてあげたいですね。「そのままのあなたでいいんだよ」というスタンスで関わりましょう。
受診に付き添う
受診に付き添いましょう。ひとりで受診するのは、とても勇気がいることです。
まとめ
初期症状に気づけるのは家族です。気持ちを受け止めることが進行予防にもつ
ながります。
認知症は、誰がなっても不思議ではない病気です。『自分事』として捉えて、一緒に考える、一緒に歩むことが大事です。
監修大阪市立弘済院附属病院/大阪市福祉局医務官 大阪市立大学大学院 医学研究科神経精神医学非常勤講師 大阪市立大学大学院 生活科学研究科人間福祉学科非常勤講師 中西 亜紀先生 日本認知症学会専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医・指導医など。 |