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認知症にならないようにするには

このテーマで、フィンランドにおいて、世界で初めて大規模な介入研究(FINGER研究と命名されています)が行われました。介入研究というのは、ある疾患になる可能性がある人を2群に分け、その疾患になるのを予防する効果があると思われることを一定期間行ってもらい(これが「介入」です)、それを実行しない群(対照群といいます)と比較して効果の有無を科学的に検証する研究です。

FINGER研究では、これまでに発表されてきた認知症の予防や発症遅延に影響すると考えられる個々の要因を、多数組み合わせて介入する試験を行いました。それらの介入要素は、食事、運動、認知トレーニング、血管障害リスクの監視です。これは認知症の2番目に多い原因となる脳梗塞を予防する因子と同じで、同時にアルツハイマー型認知症にも有効とされる因子です。トータル2年間追跡調査し、対照群と効果を比較したのです。

きわめて当たり前の結果ですが、介入群が効果に優越性を示したということです。しかし、質の高い大規模研究で科学的根拠が証明されたことは重要で、次のことを自信を持って言えるようになったことは大きいことです。

要するに、野菜をしっかり取って動物性の脂肪摂取は少なく、良質のタンパク質を取り、塩分少なめ。有酸素運動や筋トレを励行し、ガーデニングやゲーミングを楽しむ。社会参加で仲間を作り、医師の指示に従って適切に血管の状態を検査・監視し、処方された薬を忘れず服用する。また、禁煙とお酒は控えめに、という生活習慣病対策と同じような聞き飽きた結論になってしまうのです。「もうええわ!」なんて切れてしまわずに、まずはご自分の認知機能がどの程度なのかを、ゲーム感覚で試してみられてはいかがでしょうか?

医学は確実に進歩しており、早期発見により発症を遅らせることが薬でできる時代に入りました。次回はその話題を取り上げましょう。

*おれんじねっとでは、認知機能をゲーム感覚で試したり、トレーニングできるツールを下記の通りご紹介しております。

●脳体力トレーナー「CogEvo」
*ご利用についてご希望、ご質問がございましたら、おれんじねっとHP「お問合わせ」フォームよりご連絡ください。
脳体力トレーナーCogEvo (cog-evo.jp)

●おれんじねっとオリジナル5問脳トレ
おれんじねっとで かんたん たのしく 脳トレ (orangenet.osaka)

執筆:大阪市立大学名誉教授・医学博士 荒川哲男

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